国内ストレージ仮想化容量は年率92.4%増で拡大へ-IDC Japan調べ
国内ブロックレベル・ストレージ仮想化市場 新規仮想化容量の実績と予測(出典:IDC Japan) |
IDC Japan株式会社は2日、国内ストレージ仮想化市場予測を発表した。2009年のブロックレベル・ストレージ仮想化容量は前年比2.2倍の17.2PBとなり、今後も92.4%増の年間平均成長率で拡大は続き、2013年には235.4PBに達すると予測している。
同社では、ブロックレベル・ストレージ仮想化をその実装手法によって、「ヘテロジニアス・ブロックレベル仮想化」と「エンベデッド・ブロックレベル仮想化」に区分している。前者は、仮想化機能を持った仮想化コントローラー(アプライアンスや外付け型ディスクストレージ)を導入することで、ネットワークベース(FC-SAN/iSCSI-SANなど)で仮想化する手法。後者は、外付け型ディスクストレージの筐体に組み込まれた仮想化機能を利用して単一筐体内で仮想化する手法。
2009年の国内外付け型ディスクストレージ出荷容量は、ストレージ投資の落ち込みで前年比14.3%増という低い成長にとどまったが、ブロックレベル・ストレージ仮想化容量は前年比2.2倍の17.2PBに拡大した。このうち、ヘテロジニアス・ブロックレベル仮想化が43.7%、エンベデッド・ブロックレベル仮想化が56.3%を占めた。
同社では、2008年~2013年の外付け型ディスクストレージ出荷容量の年間平均成長率を46.3%と見る一方、同期間のブロックレベル・ストレージ仮想化容量の年間平均成長率は92.4%で、2013年には235.4PBに達すると予測している。
同社によれば、サーバー仮想化に比べると国内普及の遅れるストレージ仮想化だが、その要因としては、国内企業の保守的な投資姿勢やストレージ仮想化の認知度の低さ、比較的割高な導入コストが挙げられる。しかし、2009年の経済後退に伴うIT投資の抑制をきっかけに、多くの国内企業でストレージインフラに関するコスト削減、利用率向上、既存資産の有効活用やスモールスタートの実現などに対する要求が高まった。
「その手段としてストレージ仮想化を選択する企業が2009年から増加して始めている点」、「ストレージベンダー各社がエンベデッド・ブロックレベル仮想化機能を搭載した外付け型ディスクストレージのラインアップを拡充したこと」、「低コストのヘテロジニアス・ブロックレベル仮想化ソリューションを提供し始めたこと」が、市場を活性化させているという。
今後は、ブロックレベル・ストレージ仮想化はストレージに限定した課題解決にとどまらず、サーバー仮想化やクライアント仮想化と連携して国内企業のITインフラの変革を支援することで、国内企業に多くのビジネス価値をもたらす可能性を持っていると分析している。