JAIST、約1500人が利用する学内クラウドを構築、富士通と共同で
システム構成(導入前/導入後) |
北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)は、富士通株式会社と共同で、学内プライベートクラウドを構築した。約1500人の学生・教職員・事務職員に向け、2010年3月より順次サービスの運用を開始している。
JAISTはこれまで、情報・研究データの生成・蓄積・利用をストレスなくできるICT環境の整備を目指してきた。2006年からは、学生・教職員・事務職員のPC端末をシンクライアント化し、中央で一元管理されたサーバー約120台による学内ICT環境を構築。以降、稼働率の低い個々のサーバーの有効活用や、サーバー管理コストの低減のため、仮想化技術によるサーバー環境のクラウド化に注目し、小規模環境での検証を数年間続けてきたという。
その成果として、富士通と約4カ月で構築したのが、全学システムとしての学内プライベートクラウド環境。
サーバー120台を仮想化で30台に集約し、主に研究分野で活用する業務用サーバーを新たに21台構築。この合計51台の「PRIMERGY BX920」のほか、ストレージ「ETERNUS DX80」×3台、サーバー仮想化ソフト「VMware vSphere 4 Enterprise」、アプリケーション仮想化ソフト「Citrix XenApp」を採用し、シンクライアント環境を実現した。
従来、最大アクセス数や使用ピーク時を想定してサーバーを整備していたのだが、学生・教職員ではサーバーを使用する繁忙時間帯が異なるため、全時間の平均稼働率が10%を下回っていたという。これに対して、仮想化によるリソース共有で稼働率は向上。加えて、新しい研究などで一時的にコンピュータリソースが必要となる際に、必要な分だけ利用できる環境を実現。サーバーの調達手続きの煩雑さが解消され、迅速に新規研究に取り組めるようになったとしている。
今後の展開としては、学内プライベートクラウドの対象範囲を、図書館蔵書管理システム、学務システムなどにも広げる考え。また、同サービスの低稼働率時には、リソースを科学技術計算などに有効活用することでサーバー稼働率90%を目指し、投資効果の最大化を図る予定という。