企業が「.社名」ドメイン申請すべきか否か? 判断のタイムリミットは9月
日本ベリサインが新gTLD支援サービス
日本ベリサイン執行役員・事業戦略室上席室長の石川和也氏 |
日本ベリサイン株式会社は18日、企業や組織などが新gTLD(generic Top Level Domain)を導入・運用するのを支援するサービスを開始すると発表した。
新gTLDとは、新たな文字列のgTLDを企業や組織が設けて運用できる仕組み。企業が社名やブランド名を用いたgTLDで自社製品・サービスの公式サイトを運営したり、地名やコミュニティ名をgTLDにし、利用者にセカンドレベルドメインを登録・利用してもらうことも可能だ。ドメイン名を管理するICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)で、2011年に申請受付を開始する予定となっている。
日本ベリサインでは、1)新gTLDの運用方針や戦略の策定に関するコンサルティング、2)ICANNへ提出する書類の作成など申請にあたってのコンサルティング、3)実際に新gTLDの申請が認められた後のインフラ運用、4)ブランド侵害となる申請があった際に通知するモニタリング――の4つのサービスを提供する。料金は個別見積もり。
サービス提供にあたって日本ベリサインは、同社親会社である米VeriSignと、ICANN公認レジストラである豪Melbourne ITと連携。「.com」「.net」を管理するレジストリとして12年の実績があるVeriSignがインフラ運用面などでサポートする一方、メルボルンITが新gTLDの管理・運用面でのコンサルティングなどを担当する。
新gTLD運用開始までのスケジュール | 新gTLDの申請・運用までのステップ |
■今回の申請受付を逃せば、次回は未定
18日に都内で開かれた記者説明会には、Melbourne ITの最高戦略責任者で、ICANNの理事も務めるブルース・トンキン氏が出席。ICANNにおける今後のスケジュールを説明した。
Melbourne IT最高戦略責任者のブルース・トンキン氏。ICANNの理事も務める | 日本ベリサイン事業戦略室Naming事業推進チームマネージャーの宮崎謙太郎氏 |
トンキン氏によると、最終的な申請者ガイドラインが2010年末に定まる予定で、2011年3~4月ごろに申請受付がスタートする見込み。申請は2~3カ月で締め切られ、申請された文字列について広く公表された上で、パブリックコメントや異議申し立て、ICANNによる評価などを経て、2011年後半以降に実際に新gTLDの運用が開始されることになる。
注意しなければならいのは、新gTLDは定常的に申請受付が行われるものではないこと。トンキン氏によれば次回は2013年とも言われているが、確定しているわけではなく、今回の申請を逃せば次にいつ申請できるかわからない状況だという。
そこでトンキン氏は、新gTLDを検討している企業や組織においては、まず、申請受付開始の半年前にあたる今年9月までに、申請すべきか否かや運用方針などを決定する必要があると説明した。その後、予算の確保や、150ページにも及ぶという申請書類の作成など、数カ月かけて最終的な準備を進め、来年3月に申請する流れとなる。
なお、ICANNへの申請費用は18万5000ドルの前払いとなる予定。また、運用開始後は、ICANNに支払う管理費として年間2万5000ドル、およびセカンドレベルドメインの登録数が5万件を超えた場合1ドメインあたり0.25ドルの追加費用が発生する。