「Office 2010」一般向け発売、オンライン版「Office Web Apps」も正式公開
マイクロソフト株式会社は17日、「Office 2010」の一般・個人向け販売を開始した。パッケージ製品のほか、Office 2010がプレインストールされたPCも17日から順次発売される。対応OSはWindows 7/Vista/XP。
また、17日からは、WebブラウザーでOfficeアプリケーションが利用できる「Office Web Apps」を、マイクロソフトのオンラインサービス「Windows Live」の一環として提供を開始した。当初はOffice 2010のユーザーのみが対象となるが、今後数カ月かけてWindows Liveの全ユーザーが利用できるようにする。
■「Personal」「Home and Business」「Professional」の3エディション
Office 2010のパッケージ。左から「Personal」「Home and Business」「Professional」 |
「Office 2010」のパッケージ製品は、統合製品が「Personal」「Home and Business」「Professional」の3エディション。このほか、「Word 2010」「Excel 2010」などの単体パッケージも販売する。各製品には、32ビット版と64ビット版が同梱される。
「Personal」は、Word、Excel、Outlookからなる最小構成のエディション。価格は通常版が3万1290円、アップグレード優待版が1万6590円。また、ネットブックへのプレインストール用エディションとして、2年間ライセンス版も提供される。
「Home and Business」は、Word、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNoteが含まれる主力エディション。価格は通常版が3万6540円、アップグレード優待版が2万6250円。
「Professional」は、Word、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNote、Publisher、Accessからなる最上位エディション。価格は通常版が6万2790円、アップグレード優待版が3万9690円。学生や教職員向けのアカデミック版(2万9800円)も提供される。
また、Office 2010をプレインストールしたPCも17日に発売を開始。17日時点では、19社、424機種のOffice 2010搭載PCが発売された。
Office 2010プレインストールPCも各社から発売 | 17日には19社、424機種が発売 |
■「Office Web Apps」正式版提供開始、Officeをオンラインサービスで
マイクロソフトの堂山昌司副社長 |
コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部長の高橋克之氏 |
Office 2010のパッケージ製品の発売に合わせて、17日からはWebブラウザーから利用できる「Office Web Apps」の正式版提供を開始した。
Office Web Appsは、Webブラウザーで各種Office文書の編集ができるオンラインサービスで、Windows Liveの一環として提供される。当初はOffice 2010のユーザーのみが対象となるが、今後数カ月をかけてWindows Liveの全ユーザーが利用できるようになる予定で、Office製品を持っていないユーザーでも無料で利用できる。
マイクロソフトの堂山昌司副社長は、17日に行われた説明会で「我々のコンシューマー向けクラウドサービスは1995年に始まっており、認証IDサービスのPassport(現Windows Live ID)をきっかけに、1997年にはHotmailを立ち上げている」と語り、マイクロソフトは長年オンラインサービスに取り組んできたと説明。Windows LiveやHotmailに加えて、Office製品もオンラインサービスとして提供し、今後もさらにマイクロソフトの各種製品やサービス、デバイスをクラウドでつなげていくとした。
コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部長の高橋克之氏は、今回Windows Liveの一環としてOffice Web Appsの提供を開始するとともに、Office Web Appsと連携する新バージョンの「Windows Live Hotmail」など、各種のオンラインサービスを夏に向けて順次リリースしていくと説明。また、「Windows Liveフォトギャラリー」など各種ソフトの統合パッケージ「Windows Live Essentials」も、近日中に新バージョンのベータ版を提供する予定で、「あらゆるサービスをあらゆるデバイスで、より密に、シームレスに連携していく」と語った。
Windows 7は好調を維持、満足度も向上 | Windows Phone 6.5.3搭載端末も近日発売予定 |
Windows Live Essentialsも近日中にダウンロード提供を開始 | 各種のオンラインサービスやデバイスが連携していく |
インフォメーションワーカービジネス本部長の横井伸好氏 |
インフォメーションワーカービジネス本部長の横井伸好氏は、「Office 2010は、世界5億人のユーザーから寄せられるフィードバックや操作履歴データの分析に基づき、操作性やパフォーマンスを向上させた」として、「Office 2010でPC、ブラウザー、スマートフォンすべてがより早く快適になる」と説明。Office 2010の国内ベータダウンロード数はOffice 2007に比べて3倍以上の57万、予約受注数もOffice 2007に比べて2倍となり、大きな手応えを感じているとした。
ユーザーからのフィードバックにより操作性やパフォーマンスを向上 | ベータ版のダウンロード数、予約受注数はOffice 2007を大きく上回る |
■Officeとオンラインサービスが連携、活用シナリオを紹介
説明会では、「就職活動」「結婚式のビデオ作成」という2つのシナリオに沿って、Office 2010の活用例を紹介。就職活動のシナリオでは、OneNoteを使うことで各種の資料が引用元の情報を含む形で整理できると説明。Windows Phoneで撮影した写真も簡単にOneNoteに送ることができ、OneNoteのOCR機能により写真中の文字列もキーワード検索可能になるというデモを披露した。
さらに、メールにOffice文書が添付されていた場合、新バージョンのWindows Live HotmailであればOffice Web Appsを使ってブラウザーから編集でき、ファイルをオンラインストレージの「SkyDrive」に保存して共有するなど、大学の端末などOfficeがインストールされていない環境でもOfficeが活用できるとした。
Windows Phoneで撮影した写真をOneNoteに送信 | OneNoteのOCR機能で写真中の文字列も検索できる |
Office Web Appsを使えばオンラインで文書の編集が可能 | 「SkyDrive」にファイルを保存すれば共有も可能 |
結婚式のビデオ作成のシナリオでは、「Windows Liveメッセンジャー」を使って友人から写真や動画などの素材を集め、次期「Windows Live Essentials」に含まれる「Windows Liveフォトギャラリー」「Windows Liveムービーメーカー」でムービーを作成する例を紹介。新バージョンのWindows Liveフォトギャラリーでは、顔認識技術により多数の写真の中から指定した人物が含まれる写真だけを取り出すことが簡単にでき、2枚の写真からより良い部分を抜き出して合成するといったことも簡単にできるとした。
ムービーに使いたい写真が決まれば、まとめて「Windows Liveムービーメーカー」に送ることで、「オートムービー機能」により即座に動画になり、この動画をPowerPointに貼り付けて周囲にフレームや文字を入れるだけで、簡単にムービーが完成するというデモを示した。
マイクロソフトでは、こうした活用シナリオを紹介するWebサイトを17日に公開。Windows製品群に加えて、Office Web Apps連携による活用シナリオも紹介し、順次提供される新機能に合わせて更新していくという。
Windows Liveメッセンジャーで知人から写真や動画の素材を集める | Windows Liveフォトギャラリーの顔認識機能 |
同一人物と思われる画像にまとめてタグを設定できる | 作成した動画にPowerPointで装飾を加えてムービーが完成 |
■60日間の試用版をダウンロード提供。「冴子先生」登場のイベントも
17日からは、「Office 2010」が60日間無料で利用できる試用版のダウンロード提供を開始した。また、Office 2010に付属するIME「Office IME 2010」についても、Officeユーザーに対して無償で提供する。Office IME 2010は、旧バージョン(Office 2007/2003/XP)のユーザーでも利用できる。
マイクロソフトでは、Office 2010の発売に向けたプロモーションとして、以前のOffice製品に搭載されていたアシスタントキャラクター「冴子先生」が実際の女性として復活し、全国でセミナーやイベントを行うプロジェクト「冴子先生 2010」を展開している。
6月17日~20日には、全国の店頭でOffice 2010のデモイベントを実施。都内のビックカメラ(有楽町店、新宿西口店、池袋本店パソコン館)とヨドバシカメラ(マルチメディアAkiba、新宿西口本店)では、「冴子先生 2010」が登場するイベントも行う。
説明会にはOffice 2010プレインストールPCのメーカーが一堂に会した。中央には「冴子先生」も |