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日立とダイセル、経営情報から製造現場の状況までのKPIを見える化するダッシュボードを開発

IoT技術を活用

 株式会社日立製作所(以下、日立)は12日、株式会社ダイセルと共同で、IoTを活用し、経営情報から製造現場の状況までのKPIを一元的に見える化する、経営・製造ダッシュボードを開発したと発表した。

 日立とダイセルでは2015年から協創プロジェクトを進めており、生産システム成熟度モデルをベースとしたアプローチで、生産全体の最適化に向けて取り組んできた。その第1弾としては、作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検知する画像解析システムを開発し、すでに一部の工場への導入が完了している。

 今回は、ダイセルの製造現場で収集してきた、4M(Man、Machine、Material、Method)データを最大限活用に活用するとともに、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」の技術・ノウハウと、ダイセルの生産ノウハウを生かし、経営情報から製造現場の状況までのKPIを一元的に見える化する、経営・製造ダッシュボードを開発したという。

 これを利用すると、経営者層、工場管理者層、ライン監督者層それぞれの視点から、経営改善や生産性向上を図るために有用な各種KPIを、時系列にグラフ表示可能。例えば、経営者層向けには事業・工場ごとの売上や利益率などを、工場管理者層向けには担当工場のラインごとの生産量や可動率などを、ライン監督者層向けには担当ラインごとのサイクルタイムや設備稼働状況、他ラインの情報などをKPIとし、それぞれの階層において、状況の把握から課題抽出、評価分析、改善までのサイクルの迅速化が図れるとした。

 さらに、グローバルに展開している製造現場の情報を統合するとともに、不良発生時の原因分析や改善施策提案を行って各製造現場にフィードバックすることで、製品品質向上に貢献するとのこと。

 また、日立が持つ製造業へのソリューション提供実績と、自らが製造業として培ってきたOTのノウハウ、さらには独自のKPIツリーのモデル化技術を生かすことで、現場視点を重視し、改善活動につながる有用なKPIを設定できるという。

 さらに、Lumadaの機能である、収集したデータのフォーマットを統一するデータ統合基盤や、多種多様なビックデータを効率よく整理・蓄積するデータレイクを採用することで、見える化・分析を効率的に行える環境を構築する。

 ダイセルでは、エアバッグの基幹部品を製造している同社の播磨工場(兵庫県たつの市)にて、10月からライン監督者層向け製造ダッシュボードの運用を開始。今後は、経営者層向け経営ダッシュボードの運用に向け、ブラッシュアップを進めるとした。

 その後は、ダイセルの海外主要6工場に順次システムを導入し、グローバル視点での経営判断の迅速化、製造現場でのさらなる生産性・品質の向上につなげていく予定。

 また日立でも、このシステムをLumadaの産業分野向けソリューションコアのひとつとして、国内外の製造業向けに積極的に事業展開を図るとしている。

日立とダイセル、経営情報から製造現場の状況までのKPIを見える化するダッシュボードを開発