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日本オラクル、クラウド・インフラストラクチャ製品群の事業戦略を発表
オンプレミスからクラウドへの最適な移行パスを提供
2017年8月29日 06:00
日本オラクル株式会社は8月28日、クラウド・インフラストラクチャ製品群に関する2018年度(2018年5月期)の事業戦略説明会を開催した。あわせて最新テープ・ストレージ製品「StorageTek SL4000 モジュラー・ライブラリ・システム」(以下、StorageTek SL4000)を国内で本日より提供開始することを発表した。
説明会に登壇した日本オラクル 常務執行役員 クラウド・システム事業統括の大月剛氏は、まず、2017年度のクラウド・インフラストラクチャ製品群のビジネス概況について振り返り、「Exadataを中心に、ほかのエンジニアド・システムとの組み合わせ導入の促進」、「Oracle Database Appliance(ODA)の拡大」、「既存SPARCユーザーの観光庁を中心とした大規模なハードウェア更改」、「メインフレーム向けなどテープ・ストレージの底堅い需要」という4つのハイライトを挙げた。
これを踏まえて、2018年度の事業戦略としては、「当社のクラウド・インフラストラクチャ製品群の強みを生かし、オンプレミス環境からプライベート/パブリック/ハイブリッドクラウド環境へのさまざまな移行パスを提供する“Journey to the Cloud”を推進していく。特に、従来型データセンターのオンプレミス環境の最適化を図り、パブリッククラウドへと移行するパスを提供する。この移行パスで重要となるのが、『シンプル化』『プライベートクラウド化』『アプライアンスの活用』『SPARCによるパフォーマンスとセキュリティの向上』『データの統合と保護』の5つだ。当社では、これらの要素をすべてカバーするハードウェア製品群をそろえており、顧客の移行パス・移行ステップに応じて最適なソリューションを提案していく」との方針を述べた。
具体的には、クラウド・インフラストラクチャ製品群を「エンジニアド・システム」「サーバー」「データベースアプライアンス」「ストレージ」の4つのカテゴリに分け、カテゴリごとに特化したビジネス展開を進めていくという。「エンジニアド・システム」カテゴリについては、国内コンバージド・システム市場およびIntegrated Platform市場でトップシェアを確保していることを踏まえて、引き続きコンバージド・システムにフォーカスしたビジネスを展開していく考え。
「サーバー」カテゴリについては、Solaris搭載製品をサーバーだけでなく、エンジニアド・システムやストレージ、Oracle Cloudまで広げ、ハイブリッドクラウドを推進する。また、SPARC搭載製品では、100万円台の単体サーバーから可用性に優れたスーパークラスタ、クラウドサービスまで幅広いラインアップを展開し、今年下半期から2018年上半期にかけては、次世代SPARCプロセッサをリリースする予定だ。
「データベースアプライアンス」カテゴリは、「ODA」の販売が好調に推移しており、「2017年度は、『ODA』発売以降で過去最高の売り上げを記録した。世界のパートナー別売上実績でもトップ10に日本のパートナーが2社ランクインしている」という。「ODA」のニーズが高まっている理由については、「Oracle Database Standard Edition(以下、SE)の大きい市場(過去5年で数百億円規模)がある」、「SEの9割以上が他社ハードウェア上で稼働しており、大きなホワイトスペースがある」、「SEからSEでも、SEからEnterprise Editionへのアップグレードでも大きなコストメリットを実現できる」ことを挙げている。
「ストレージ」カテゴリでは、「爆発的なデータ量の増加にともない、コンテンツ管理やメディア&エンターテインメント、ヘルスケア、図書館、ビデオ監視などの分野でテープ・アーカイブの需要がさらに高まる」と分析。今回、テープ・ストレージのラインアップ強化を図るべく、新製品「StorageTek SL4000」を国内でリリースすることを発表した。「StorageTek SL4000」は、カートリッジ・テープを前世代モデル「StorageTek SL3000」の約1.5倍となる最大9000巻、テープドライブは約2倍の最大120台搭載することが可能。ベースライブラリは、最大339のスロットと最大24のテープドライブをサポートし、1つのフレームとしては最大2.8ペタバイトのデータ容量を格納できる。クラウドやデータ保護、災害対策、アーカイブなどの用途に適した、環境負荷の少ないストレージ製品となっている。
さらに、2018年度の注力分野として、新たに「セキュリティ」カテゴリにも積極的に取り組んでいく考え。大月氏は、「データベースのセキュリティ対策が求められるガイドラインとして、2018年3月31日にPCI-DSS対応が迫っている。そこで、PCI-DSS対応のデータベース基盤の構築に特化したアプライアンス製品を2モデル提供し、拡販を図っていく。これにより、PCI-DSS準拠のシステムの構築・運用を簡単かつ低コストで実現可能となる。今後も、高まるセキュリティ対策ニーズに合わせて、最適なソリューションを提供していく」と意欲を見せた。