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クラウド導入の促進要因は「予算削減」から「セキュリティ」へ――、IDC調査
2017年8月17日 11:57
IDC Japan株式会社は17日、2017年3月に実施したクラウドにかかわるユーザー動向調査「CloudView 2017」の結果を発表した。
従来はクラウド導入の促進要因や期待効果として「IT予算の削減」を挙げる企業が多く、2011年~2016年までのユーザー調査では、「IT予算の削減」がもっとも多い結果となっていた。
それに対し今回の調査では、「IT予算の削減」をクラウドの導入の促進要因として回答する企業が減少。特に、ホステッドプライベートクラウドサービス(HPC)、あるいはオンプレミス型プライベートクラウドであるエンタープライズプライベートクラウド(EPC)では、導入の促進要因の上位5項目には挙げられなかったという。
代わって、今回は「ITセキュリティの強化」が多く挙げられており、中でもHPCサービスでは、56.0%の企業が「ITセキュリティの強化」を導入の促進要因であると回答している。IDC Japanではこれについて、「クラウドによるコスト削減効果に対して、過剰な期待が是正され、迅速性の向上といった価値を重要視する企業が増加したため」と分析した。
一方、クラウド導入の懸念事項としても、「セキュリティ」を挙げる企業が最も多い結果となった。こうした回答から、国内企業は、クラウドの導入に関してセキュリティの強化に期待している一方で、懸念を抱いている姿勢が明らかになったとしている。
ベンダー側でも、クラウドにかかわるセキュリティの重要性は認識しており、製品/サービスには「暗号化」「アクセス管理」「脆弱性対策」などのセキュリティ対策の強化を進めている。一方、セキュリティを強化するためには、企業の対応も必要となるものの、企業でのセキュリティ対策は複雑化する傾向が見られ、どこまで実施すればよいかが分かりづらくなっているとのこと。
こうした現状について、IDC Japan ITサービス リサーチディレクターの松本聡氏は、「ベンダーは、情報の機微性といった視点によってシステムのリスク特性を分析し、リスク特性に応じたセキュリティ対策のガイドラインやテンプレートを整備し、実効性の高いセキュリティ対策を実現するように、企業のクラウド導入を支援することが重要だ」と指摘している。