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2016年の国内クラウドITインフラ市場規模は前年比17.2%増の1432億5200万円~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は5日、2016年の国内クラウドITインフラストラクチャ市場の調査結果を発表した。

 調査は、「パブリッククラウド向け」「プライベートクラウド向け」の配備モデル別ITインフラストラクチャの出荷動向について分析したもので、サーバー、エンタープライズストレージシステム、データセンター向けイーサネットスイッチを対象としている。

 2016年の国内クラウドITインフラストラクチャ市場における出荷額は前年比17.2%増の1432億5200万円。成長の背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みなどによる新規需要や、既存システムの更新需要においても、クラウドファーストの考え方が広く浸透したことがあると分析している。

 内訳では、パブリッククラウド向けの出荷が前年比25.1%増の913億円と好調で、全体の63.7%を占めた。また、2016年におけるパブリッククラウド向け出荷では、ODM Directの占める割合が、2014年の43.4%から15.1ポイント低下して28.3%となった。

国内クラウドITインフラストラクチャ市場 パブリッククラウド向け出荷額シェア、2014年~2016年:ODM Direct vs. Branded Vendors(出展:IDC Japan)

 IDC Japanでは、パブリッククラウドサービスの主要な担い手は、グローバルなサービスプロバイダーに加えて、国内資本の大手ホスティングサービスプロバイダーなどへと広がり、IBM、富士通、NEC、日立製作所といった総合ITソリューションを提供するハードウェアベンダーにおいても、ハードウェアを中心に据えた事業戦略から、クラウドサービスやDX関連ソリューションを中心に据えた事業戦略への転換が進んできていると説明。こうした市場参加者の変化が、2016年の国内クラウドITインフラストラクチャ市場におけるパブリッククラウド向け出荷額シェアにも表れたとしている。

 グローバルクラウドサービスプロバイダーでは、高密度実装可能かつ冷却効率の高いハードウェアを大量かつ低価格で調達するために、ODMから直接調達(ODM Direct)しており、デルでは従来から大規模導入する顧客向けには個別仕様のハードウェアを提供している。

 一方、総合ITソリューションを提供するハードウェアベンダーにおいては、顧客への販売に加えて、自社や関連会社が提供するクラウドサービスでも自社製品を採用することになると説明。また、案件の規模によってはODM Directやデルと競合しうるベンダーが現れており、顕著な例としてはファーウェイがこれにあたり、国内市場においては特定の大口案件にフォーカスして提案しており、一部のサービスプロバイダーにおいて案件を獲得していると分析。これらの複合要因によって、ODM Directの割合が低下したとしている。

 2016年は2桁%のプラス成長となった国内クラウドITインフラストラクチャ市場だが、成熟した国内市場においては、処理能力に対する需要を増やさない限り、長期的にはクラウドITインフラストラクチャに対する需要は頭打ちになると考えられると説明。IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャのグループマネージャーである福冨里志氏は、「エンタープライズITインフラストラクチャベンダーは、既存の優良顧客を取り込むばかりではなく、IT活用による新規ビジネス創出を目指す顧客とのエンゲージメントを深め、自ら優良顧客を育てる取り組みが不可欠である」と述べている。