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事業者データセンター新設は拡大、企業内データセンター新設は抑制傾向~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は20日、国内のデータセンター(DC)管理者を対象とした調査結果を発表した。

 調査は、国内のDC管理者294人にアンケートを行ったもの。主にデータセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査した。内訳は、金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内DCの管理者が241人、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者DCの管理者が53人。

データセンター(DC)新設予定ありと回答したDC管理者の比率の推移、2012年~2017年(出展:IDC Japan)

 調査によると、事業者DCでは43%の管理者がデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したが、企業内DCの管理者では新設予定があるという回答は8%にとどまった。

 企業内DCでは、IT資産を事業者DCやクラウド環境へマイグレーションする取組みが加速しており、DCを新設する必要性が低下していると分析。一方、事業者DCではこうしたマイグレーションにより企業のITインフラを設置するファシリティが必要となり、DC新設の必要性が大きい傾向にあるとしている。

 IDC Japanでは、この調査を2012年から毎年実施しているが、これまでの調査結果を見ると、事業者DCの「新設予定あり」の比率は上昇と下降を繰り返していると説明。特に、2016年時点における新設予定の見通し(21%)から、今回(2017年時点)の新設予定見通し(43%)は大幅な上昇となっており、2013年から続いていた建設価格高騰に一服感が見られるようになったことが、事業者DCの新設意欲を後押しした結果だとしている。

 IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「DCはERPのような伝統的な企業/団体の定型業務システムサーバーだけでなく、IoTやAIのような新しいタイプのシステムのインフラとして利用されることが増える。DC新設にあたっては、こうした新しいワークロードに適したDCの要件を考慮することが重要となる」と述べている。