ニュース

デジタル・リアルティ、同社初となる国内データセンターを開設

クラウド事業者やコロケーション向けの「第一大阪データセンター」

 米国のデータセンター事業者であるDigital Realty Trust(以下、デジタル・リアルティ)は17日、同社の日本で初となる「第一大阪データセンター」を開設した。クラウドプロバイダーやコロケーションを主なターゲットとし、ラックあたりの電力供給量や床荷重などでクラウドプロバイダーに対応した設計になっているという。あわせて、第二大阪データセンター建設用に、隣接した土地を購入したことも発表した。

 同日、オープニングセレモニーとともに、記者説明会と、記者向け見学会が開催されたので、本稿ではその様子をお届けする。

デジタル・リアルティ 第一大阪データセンター
第二大阪データセンター用地

クラウド事業者などの高密度なラック構成に耐える設計

 第一大阪データセンターは、大阪の中心商業地区から20キロ圏内の茨木市にあり、敷地面積は約8600平方メートル、データセンターの建物が約8300平方メートル。

 総電力供給は7.6メガワット。ラックが入るフロアは3フロアあり、1フロアあたり2.4メガワットの電力を供給。ほか別館に0.4メガワットを供給する。

 1ラックには電力8キロワットを供給し、床荷重が2トン/平方メートルと、クラウド事業者などの高密度なラック構成に耐えるように設計したという。

 こうした設計について、デジタル・リアルティ CEOのA. William Stein氏は、記者説明会で「次世代型のデータセンター」と表現した。同社では「既存データセンターとは競合しない」と考えているという。

 Stein氏はデジタル・リアルティ自身についても説明した。デジタル・リアルティはデータセンターのコロケーションや接続で2300社を超える顧客を抱え、世界中にサービスを提供しているという。「顧客は、クラウド事業者やIT事業者、金融、製造業、ゲーム、ライフサイエンス、コンシューマー向けなど、多岐にわたる」とStein氏。

 また、日本事業開発担当バイスプレジデントの太田康文氏は、デジタル・リアルティについて、市場価値で約2兆円、企業価値で約2.9兆と説明。世界で145データセンターを、30を超える都市圏に持ち、約200万平方メートルのデータセンターフロアを提供しているという。アジア太平洋地域では、シンガポール、香港、豪州(シドニー、メルボルン)にデータセンターを持つ。ちなみに同社はニューヨーク証券取引所ではREITに分類されている。

 Stein氏は大阪データセンター開設の背景として、アジア全域でデータセンター需要が高まっていることを挙げ、「グローバルな企業は、よりローカルな顧客や企業の近くにインフラを拡大する」とそのニーズを語った。

 同時に用地購入が発表された第二大阪データセンターは、隣接する土地(箕面市)に、最大2万3000平方メートルで建設する予定。総電力供給も27メガワットと、第一の3倍強となる。電力消費のPUEは約1.2で計画(第1は1.3)。1フロアに5つのホールを設け、3層で計15ホールとなるという。

デジタル・リアルティCEOのA. William Stein氏
日本事業開発担当バイスプレジデントの太田康文氏
第一大阪データセンターの仕様(記者説明会資料より)
第二大阪データセンターの仕様(記者説明会資料より)

ラックを入れはじめたデータセンター内を見学

 見学会では、まだほとんどラックが設置されていないデータセンターの様子が見られた。

 現在テナントとして2社が実際にラックを入れているところだという。ラックは顧客が用意し、自由にレイアウトできるようになっているとのことだ。

 工事中なので、ラックを立てる予定の場所や、そこに設けられた床下から冷気を吹き上げる口なども見ることができた。

すでに工事している2社のスペース。奥側の会社のスペースはすでにラックが並び、手前の会社のスペースは工事中
ラックを立てる場所。ラックの間に冷気を吹き上げる口がついている。冷気と排気を分離するアイルキャッピングを想定
2系統の電源は、ボックスを色分けしている
フロアの空調装置。パイプラインが2系統あり、夏のみコンプレッサーを稼働しているという(PUEは1.3)
屋上の熱交換器
データセンターの裏面
全体の稼働を監視するNOCルーム
休憩室。写真ではわかりにくいが、窓が広くて開放感があった
データセンター横の別館(コロケーション・データホール)