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日本IBM、IBM Watsonと自動化ツールを活用した超高速開発ソリューション

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は24日、「IBM Watsonを活用した次世代超高速開発」を発表した。従来の超高速開発で重点を置いていたアプリケーション開発領域に加えて、アプリケーション保守やプロジェクト管理の両領域も含め、システム開発・保守サイクル全体の超高速化を実現するという。

 このうちプロジェクト管理領域では、質問応答、プロジェクト状況の可視化とレポート、品質やリスクの予測を行う「コグニティブPMO」ソリューションを提供する。

 質問応答は、IBM Watsonの自然言語分類機能と対話機能を使ったチャットボットを用いることで、回答者の回答探索や応答の負担を軽減し、質問者がいつでも回答を得られるようにする。またプロジェクト状況の可視化とレポートでは、プロジェクトで作成される進ちょく管理表、課題管理表などからデータを取り込み、プロジェクト状況を視覚的に表示して、標準レポートとして出力できるようにする。

 品質やリスクの予測では、プロジェクト状況の可視化によって蓄積された情報を活用し、品質の変化とリスクの出現を予測。AIを活用して、過去のプロジェクト実績や課題履歴といった膨大なビッグデータの中から有用な知見を抽出するため、精度の高い予測が可能になるとした。

 日本IBMではこうした「コグニティブPMO」を活用することにより、プロジェクト管理コストを約30%効率化できると見込んでいる。

 アプリケーション開発領域としては、自動化ツールを活用した要件・設計・作成・ビルド・デプロイ・テストを支援する「統合リポジトリー&ツール」ソリューションを用意した。このソリューションでは、要件や設計仕様をデータとしてリポジトリに登録・一元管理し、設計仕様間の整合性やトレーサビリティを自動チェックすることができる。

 また、整合性が保証された設計仕様からプログラムのソースコードを自動生成し、連続してビルドが自動実行され、さらにテスト環境や本番環境に自動デプロイすることが可能という。さらに生成された画面は、さまざまなスマートデバイスの画面サイズに合わせて動的に調整される仕組みを備えた。

 こうした機能により、ユーザーは早いフェーズから動く画面と機能を確認可能になるので、画面や機能の修正を早期に行える点がメリット。特に、早いリリースが求められるスマートデバイス用アプリなどのフロントエンドシステム開発では、このようにすぐに動く実行モジュールを自動生成できることが必須になっているという。

 一方でバックエンドシステム開発に関しては、メインフレーム用アプリケーション部品の自動生成機能やコーディングレスでのAPI生成機能を、「統合リポジトリー&ツール」の個別機能として提供する。

 なお、「統合リポジトリー&ツール」はアプリケーション保守の領域も対象としており、影響分析や障害予測を支援可能。影響分析では、プログラム構造全体の可視化とシステム変更が影響を及ぼすポイントの探索をサポートし、迅速な変更要求への対応を行えるという。障害予測では、AIを活用することで、蓄積された稼働実績データおよび障害履歴データなどのビッグデータの中から有用な知見を抽出し、精度の高い障害予測を可能にするとした。

 「コグニティブPMO」、「統合リポジトリー&ツール」ともに、価格は個別見積もり。