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NTTテクノクロスが設立会見、最先端技術を結集し高付加価値なサービスを提供

中期経営計画で2020年度に売上高500億円目指す

 NTTグループの新会社として4月1日付で設立されたNTTテクノクロス株式会社は12日、同社の経営方針や事業計画、およびソリューション展開について説明会を開催した。

 中期経営計画として、旧NTTアイティと旧NTTソフトウェア、NTTアドバンステクノロジがそれぞれ分担していたNTT研究所の最先端技術を結集し、高付加価値なサービスを提供することで、2020年度に売上高500億円、そのうちNTTグループ外市場の売上比率を50%超に高める方針を発表した。

左から:NTTテクノクロス 取締役 経営企画部長の端山聡氏、同 取締役 メディア&モバイル事業部長の鈴木茂房氏、同 代表取締役社長の串間和彦氏、同 取締役 メディアイノベーション事業部長の石橋聡氏、同 常務取締役 営業推進部長の高間徹氏

 説明会の冒頭であいさつしたNTTテクノクロス 代表取締役社長の串間和彦氏は、「当社は、旧NTTアイティと旧NTTソフトウェア、およびNTTアドバンステクノロジの一部組織が統合して誕生した。NTT研究所が持つ世界最先端レベルの技術を生かしながら、新しい価値を社会に提供していく。また、研究所から研究試作を受注するだけでなく、研究所の成果を積極的に市場に出し、フィードバックを戻し、新たな研究テーマを提言するなど、研究所にとってなくてはならない存在を目指す」と、新会社の企業ビジョンを示した。

 「社員数は、1800人でスタートする。この規模は、社員のベクトルを合わせるのに適しており、風通しをよくすることで一体感を持たせ、数多くの開発をこなしていけると確信している。社員一丸となって、常に前向きな姿勢で、社会に貢献し、顧客企業とともに大きく飛躍していきたい」との抱負を述べた。

NTTテクノクロス 代表取締役社長の串間和彦氏

 具体的な事業計画としては、「旧NTTアイティと旧NTTソフトウェア、およびNTTアドバンステクノロジが分担していたNTT研究所の最先端技術を当社に結集する。特に、映像・音声にかかわるメディア処理と、認識や判断にかかわるAI処理の技術を統合し、これらをワンストップで蓄積・活用することで高付加価値なサービスを提供していく」とし、これに向けた重点事業として「NTT研究所技術の活用」、「3社統合を契機とした新たなシナジー」、「新ソリューションの創出」の3つの柱を掲げた。

NTTテクノクロスが展開する事業の3つの柱

 「NTT研究所技術の活用」では、ビッグデータやAI、IoTなどの分野で世界トップレベルの研究成果を創出しているNTT研究所との連携を深め、最先端の技術を顧客に提供する役割を担う。単に研究活動に必要な試作開発を請け負うだけでなく、最先端技術を応用し、掛け合わせて使いやすくする高いノウハウをコアに商品化を行い、付加価値の高い製品を市場に展開していく。

 「3社統合を契機とした新たなシナジー」では、NTTアイティの持つ、市場ニーズをとらえた製品開発力と販売チャネルを活用した販売力、NTTアドバンドテクノロジの持つ、ソフト・ハードを組み合わせたビジネス構築力、そして、NTTソフトの持つ、セキュリティ・クラウドなどの基盤構築および大規模SIで培ったプロジェクトマネジメントのノウハウ、3社それぞれの強みを最大限に掛け合わせ、ソリューションやビジネスに新たなシナジーを生み出していく考え。

 「新ソリューションの創出」では、新規ソリューションを絶え間なく創出していくソリューションパイプラインを構築する。具体的には、「新規・仕込み期」、「立ち上げ期」、「拡大期」、「成熟期」の4つのフェーズに分け、新規ソリューションの展開をオペレーションしていく。「まず、『新規・仕込み期』では、NTT研究所技術やシナジー、ニーズ、ビジネス創出活動などの要素から複数の新規ソリューションを積み上げる。次に、『立ち上げ期』で約1億円の売上規模に昇格させ、さらに『拡大期』で数億円以上にまで成長させる。最終的には、安定的な収入が得られる『成熟期』へとステップアップさせていく」(串間氏)としている。

新ソリューションを絶え間なく創出するソリューションパイプライン

 この3つの柱を中心に事業を展開し、中期経営計画として、「2017年度は、売上高425億円、営業利益12億円を見込む。そして、2020年度には、売上高500億円、営業利益22億円の達成を目指す。また、市場競争力を高めることで、NTTグループ外市場の売上比率を拡大し、2017年度は185億円、2020年度には売上比率50%となる250億円まで引き上げる」との方針を示した。

NTTテクノクロスの中期経営計画

 また、説明会では、同社が現在進めているシナジーソリューション展開について、取締役 経営企画部長の端山聡氏が説明した。「シナジーソリューション展開の戦略としては、統合3社の強みが有効、かつ大きな成長が見込める市場をターゲットにしている。具体的には、AIを活用した『カスタマ・エクスペリエンスの向上』、『働き方改革』の促進による社会問題の解決、2020・地方創生に向けた『おもてなし』の3つの領域に向けて、シナジーソリューションを展開していく」という。

シナジーソリューションの展開戦略
NTTテクノクロス 取締役 経営企画部長の端山聡氏

 シナジーソリューションの事例としては、「カスタマ・エクスペリエンスの向上」の領域では、AI技術をフル活用したコールセンターソリューション「フォーサイト ボイスマイニング」を提供。「働き方改革」の領域では、今年2月に、高音質で双方向リアルタイムコミュニケーションを行い、音声認識連携で会話内容をテキスト化できる「WiFiインカムシステムボイステキスト」を発表している。「おもてなし」の領域については、corevo共通基盤につながったコミュニケーションロボットをMicrosoft PowerPointで操作するソリューション、および360度のVR映像を手元のスマートフォンで切り取って視聴体験できるソリューションが紹介された。