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ネットワン、SD-HCIをコアとしたクラウドネットワークソリューションを販売

アリスタ、ヴイエムウェアとの提携で

 ネットワンシステムズ株式会社は5日、アリスタネットワークス(以下、アリスタ)、ヴイエムウェアとの戦略的提携をベースとしたソフトウェア「SD-HCI(Software Defined Hyper Converged Infrastructure)」をコアとしたクラウドソリューションの販売を開始する。4月3日付けでクラウドのソフトウェアに特化した子会社「ネットワンコネクト合同会社」を設立し、ソフトの開発と販売を行っていく。

 「日本のお客さまのクラウド利用は、プライベートクラウドからスタートしたが、(今では)パブリッククラウドの利用が増えている。お客さまがオンプレミス、パブリッククラウドをひとつのクラウドとして有効活用するためにはどうすればいいのか? われわれが提唱するSD-HCIとは、小さな領域にとどまらず、構築、運用がしやすいプラットフォームと、それができるアーキテクチャを提供することを目指したコンセプト。さらにそこに必要なソフトウェアをアリスタ、ヴイエムウェアの技術をもとに、最高のクラウドビルダーであるわれわれのノウハウ、技術、サービスを組み合わせたソフトウェア、サービスを開発し、日本市場で展開していく」(ネットワンシステムズ 執行役員の篠原文彦氏)。

 SD-HCIのソフトウェアの価格は2000万円からで、大規模企業、官公庁、自治体、データセンター事業者を最初のターゲットとして、初年度25億円の売り上げを目指す。

ネットワンシステムズ 執行役員の篠原文彦

5つのコンポーネントで構成

 SD-HCIは、セキュアで運用管理が容易なクラウドシステムを構成するソフトウェアパッケージで、次の5つのコンポーネントから構成されている。

(1)プライベートクラウドネットワーキング機能:プライベートクラウド内の仮想的なオーバーレイネットワーク機能の提供と、物理的なアンダーレイヤーネットワークの自動プロビジョニングおよび、物理・仮想相互の連携によるプライベートクラウド内ネットワーク全体の統合管理
(2)ハイブリッドクラウドネットワーキング機能:ハイブリッドクラウド環境を実現する、プライベートクラウドとパブリッククラウド間の仮想ネットワークの提供と統合管理
(3)SD-WAN機能:迅速、柔軟でクラウド活用に適した拠点間WANを実現する、各事業拠点とプライベート/パブリッククラウド間の仮想ネットワークの提供と統合管理
(4)セキュリティ機能:プライベート/パブリッククラウド、各事業拠点を横断した、アプリケーションの可視化、利用者単位でのアクセス制御、未知の脅威からの防御を実現する次世代ファイアーウォールの提供および、セキュリティポリシーの動的変更と統合管理
(5)可視化(テレメトリ)機能:クラウドネットワーク基盤全体での可用性向上を実現する、プライベート/パブリッククラウド、各事業拠点を横断した、リアルタイムでのネットワーク状況の高度な可視化、分析による障害の予防検知

SD-HCIの機能概要

 さらにソフトだけでなく、ライフサイクル全般をサポートするサービスを提供する。

 「導入前のコンサルティングなどのプラン段階、ビルド段階でのプロジェクトマネジメントなど、インフラを正常に維持し、さらなる改善までを行うオペレーション段階、ライフサイクル管理によるスムーズな移行などアセスメントを含めたオプティマイズと4つのカテゴリーに分け、ライフサイクル全般を的確にサポートしていく」(ネットワンコネクト 事業統括部長の中嶋二三男氏)。

SD-HCIのライフサイクルサポートサービス

 また、2016年6月に発表した、オンプレミス環境と複数のクラウドを閉域網でセキュアに接続するマルチクラウド閉域網接続、SD-HCIを含めた可動性能を検証・構成済みのハードウェアの提供も行っていく。

クラウドHUBサービス
を検証・構成済みのハードウェアも提供

 ソリューションロードマップとしては、7月にプライベートネットワークのアンダーレイネットワークとオーバーレイネットワークを統合。10月にはハイブリッドクラウド接続、クラウドHUB連携、セキュリティ機能の実装を行う。来年初頭にはSD-WANによる拠点接続、可視化(テレメトリ)による障害予防検知を行うことを予定している。

 「同じ管理者といっても、サーバー管理者とネットワーク管理者は全く別のスタッフが、別のノウハウで行っている。そこにサーバー、ネットワーク間をシームレスに監視できるソフトを提供することで、本当の意味でシームレスな監視を実現することができる。また、パブリッククラウド側の状況が見えないことが大きなストレスになるという声を受け、その部分の可視化を行うなど、お客さまが本来の業務にフォーカスできる運用監視のためのソフト、サービスを提供する」(ネットワンコネクトの中嶋氏)。

ソリューションロードマップ
データセンター向けソリューションの概要
データセンター向けソリューションのメリット

 会見には提携関係にあるアリスタ、ヴイエムウェアのスタッフも参加した。

 米Arista Networksのグローバルオペレーションズ&マーケティング担当上級副社長であるマーク・フォス氏は、「当社とVMwareは古くからのパートナー関係があり、2008年からパートナーシップを結び、エンジニアリングレベルで提携関係を持っている。今回、システムインテグレーターであるネットワンとの連携が実現によって、パッケージ化された形で、お客さまに当社のソリューションを届けることができることを大変うれしく思っている」と話した。

 ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 本部長の小林泰子氏も、「サーバー管理者と、ネットワーク管理者は別の人で、同じデータセンターではあるが大きな隔たりがあった。ここ数年で当社のソリューションがサーバー、ネットワーク両方が組み合わさった仮想化の世界を提供できるようになった。その中で、ネットワンは大きな貢献をしていただいているパートナーで、日本でのNSXの認定技術者がネットワンには三けた存在する。今回のSD-HCIも同じ世界を目指したもので、われわれのビジョンとも一致している」と歓迎のことばを述べた。

Arista Networks グローバルオペレーションズ&マーケティング担当上級副社長のマーク・フォス氏
ヴイエムウェア ソリューションビジネス本部 本部長の小林泰子氏