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国内企業のデバイス管理/戦略に対する取り組み成熟度、約半数が個人依存/限定的導入の段階にとどまる~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は11日、国内のユーザー企業に対し、ユニファイドデバイスマネジメント(デバイス管理/戦略)に対する取り組み状況を調査し、成熟度を分析した結果を発表した。

 IDC Japanでは、企業におけるユニファイドデバイスマネジメントレベル(成熟度)について客観的に評価することを目的として、「IDC MaturityScape: Unified Device Management 1.0」フレームワークを開発。このフレームワークに基づき、「ビジョン」「プロセス」「テクノロジー」「プラットフォーム」「資産管理」の5つの特性を評価指標とし、それぞれの成熟度を調査分析した。

 2016年10月に実施した今回の調査では、ITサービス業界を除く従業員数500人以上の企業に所属し、IT関連部門の担当者/責任者/管理者/事業部長/CIOで、デバイス管理/戦略およびエンドポイント戦略や計画策定に関与する200人に対してウェブアンケートを実施。これらを総合して国内企業のユニファイドデバイスマネジメントへの取り組みに関する成熟度を分析した。

 成熟度は、ユニファイドデバイスマネジメントについて、まったく導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)の5段階で評価している。

 調査の結果、国内のユーザー企業のデバイス管理/戦略に対する取り組み成熟度は、約半数がステージ1(7.8%)またはステージ2(40.0%)で、全社的に統合化/標準化されたデバイス管理基盤を有するステージ3の割合も25.3%にとどまっている。

国内ユニファイドデバイスマネジメントの成熟度ステージ分布(出典:IDC Japan)

 IDC Japanでは、多くの国内企業は一部の部門あるいは部門単位で統合化および自動化されたデバイス管理を行っており、その効果を評価していると説明。部門ごとに一定の投資を実施しているため、デバイスのリスク管理には対応しているが、ビジネス成果に一貫性はなく、全社で統一したデバイス戦略には至っていないと指摘する。

 また、多くの企業は、事業価値を創出し、ITの生産性を向上させるためのデバイス活用のレベルには達していないと分析。ステージを上げるためには、ビジネスに貢献する標準化されたデバイス管理プロセスを継続的に見直し、セキュリティと利便性を最適化したクライアント基盤を構築し、ビジネスイノベーションや変革を実現することが求められているとしている。

 米国の成熟度との比較では、米国も日本と同様に、ステージ2もしくはステージ3にとどまっている企業が多いものの、定量的管理(ステージ4)と継続的革新(ステージ5)の割合は日本よりも高く、日本と比較してさらに上のステージへ移行している状況にあると説明。日本企業がステージ4以上への移行が遅れている理由としては、ITリテラシーの低さ、IT人材の枯渇およびIT人材に対する低い評価、デバイス管理/戦略の責任者の権限/役職が低いことが挙げられるとしている。

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「企業経営者/CIOは、自社のデバイス管理/戦略を真剣に検討し、戦略的基盤として形成し、生産性向上や売上拡大に寄与することを再考すべきである。このことによって、リスク評価やコスト評価を考慮した事業施策の意思決定が行え、運用プロセスや先進的なテクノロジーの活用への取り組みが進展し、さらに成熟度が高まる」と述べている。