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さくらインターネットなど3社、大規模な電子マネー勘定システムへの実用を前提としたブロックチェーン適用実験に成功
2016年12月20日 15:52
さくらインターネット株式会社、テックビューロ株式会社、アララ株式会社の3社は20日、大規模な電子マネー勘定システムにおける、実用を前提としたブロックチェーンの適用実験に成功したと発表した。
実験には、テックビューロが開発するプライベートブロックチェーン製品「mijin」の次期バージョンである「Catapult(カタパルト)」を使用。大規模な電子マネーシステムで、高速勘定システムとしての実利用を想定した環境において、ブロックチェーンネットワークは安定して平均秒間3085.77件、最大4142件の決済トランザクションを処理し、障害を模擬した複数のノード停止状態においてもパフォーマンスは低下しなかったという。
実験において、さくらインターネットは実験で必要となるクラウドサーバー環境を「さくらのクラウド」で提供。テックビューロがCatapultを使った勘定システムを提供し、アララが大規模な電子マネーの実用を想定した各種試験を実施した。
実験では、1カ月間以上プライベートクラウドにて実験していた環境を、さくらのクラウドに移植。1リージョンでの利用を前提として、ブロックタイム15秒でノード3台のブロックチェーンを構成。さくらのクラウドの東京リージョンに、32GB RAM、8コアのノード用サーバー3台と、128GB RAM、12コアのトランザクション発生シミュレーション用サーバー2台による実験環境を構築した。
ピーク時間における1時間あたりの利用を1080万人として、mijinに1080万アカウントを用意し、それぞれに1マイクロから1080万マイクロトークンを昇順に残高として持たせ、大量のトランザクションを発生させるプログラムを作成し、ピーク時間を模して1時間の間1080万アカウントから3つのノードに対して連続的に残高全ての支払いリクエストを送信した。
また、障害実験として、上記の処理中にノード3台のうち2台についてmijinを6分間停止し、その間は稼働する残りの1台に支払いリクエストを全て送信(約3分後に復旧と再同期が完了)。送信後、送信先アドレスのトークン残高を確認し、一定期間の稼働後に全ノードのデータを照合し、整合性を確認した。コンセンサスアルゴリズムには、対応する複数のものからmijin POSを使用した。
3社では、実験の詳細に関して、続いて実施される対改ざん性試験や対攻撃性試験の結果を含め、2017年2月までにレポートを公開する予定。実験の次フェーズでは、さくらインターネットの持つ石狩データセンターを活用し、ノードを東京と北海道の2リージョンに地理的分散をしたケースのほか、アカウント数を減らしたより高いスループットを想定したケースの適用実験を計画しているという。