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さくらインターネット、ビットスター、ミラクル・リナックスがOSS運用統合ソフト「Hatohol」共同開発へ

 さくらインターネット株式会社、ビットスター株式会社、ミラクル・リナックス株式会社の3社は29日、クラウド事業者が利用できる実用性を備えた運用統合ソフトの開発を目指し、オープンソースソフトウェア(OSS)「Hatohol」の共同検証を開始すると発表した。

 Hatoholは、ミラクル・リナックスが支援する開発コミュニティ「Project Hatohol」で開発されている、OSS運用統合ソフトウェア。システム監視やジョブ管理、インシデント管理、ログ管理など、さまざまな運用管理ツールのハブとして機能する。

 Hatoholはシステム監視ツールの統合機能を持ち、複数の監視環境(Zabbix、Nagiosなど)と連携することで監視情報を集約して一元的に表示し、運用統合する機能を提供する。今後、さまざまなクラウド基盤やその他のツールとの連携対応を進めることで、将来的に見込まれる監視規模・拠点の拡大やハイブリッドクラウド環境の監視などの要望に応え、エンタープライズ環境での利用に十分対応できる監視システムを提供する。

 さくらインターネットでは、サービスの多様化に伴い監視サーバーが増加しており、2016年7月に監視改善チームを発足して、改善に向けた活動を行っている。ビットスターでは、顧客のサービスごとに監視サーバーとモニターを構築しているため、複数の画面で監視データを目視する必要があり、監視の効率化のニーズがあった。ミラクル・リナックスが支援するProject Hatoholでは、実運用で必要な機能の実装にあたり、実証・評価できる大規模で最新のクラウド環境を求めていた。こうした背景から、共同検証の開始に至った。

 共同検証では、2016年12月にリリース予定のHatohol最新版(16.12)を利用して、大規模システムや大量ドメインなどのさまざまなテーマにおいて検証を実施する。さくらインターネットとビットスターが蓄積した実際のユーザーニーズなどをもとに、クラウド事業者が求める実用性として、大規模システムや大量ドメインにおけるパフォーマンスを検証するほか、運用統合のあるべき姿について運用現場の意見を反映して提案していく。

 共同検証による結果は、さくらインターネットが運営するITエンジニアの情報サイト「さくらのナレッジ」に掲載し、運用管理でのオープンソース利用を活性化するとともに、企業ユーザーが抱える運用管理の課題解決に貢献していく。

 3社では、検証結果のフィードバックと、ユーザー視点でより有用な機能の追加開発を行い、クラウドベンダーが実運用で使えるOSS運用統合ソフトとして本共同検証の成果を実装したHatoholを2017年夏にリリースすることを目標にするとともに、Project Hatoholの活動を支援していくとしている。