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ナカシマプロペラ、CFD(数値流体力学)システムに「Dell EMC PowerEdge M630」ブレードサーバーを追加導入

 デル株式会社とEMCジャパン株式会社は25日、総合舶用推進機器メーカーのナカシマプロペラ株式会社が、CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)システムに「Dell EMC PowerEdge M630」ブレードサーバーを96台追加導入したと発表した。これによりナカシマプロペラは、244ノード、約5000コアによる並列処理による船舶用プロペラの品質向上と開発期間短縮を実現した。

 ナカシマプロペラは、船舶用プロペラでは国内70%、世界30%のシェアを占める総合舶用推進機器メーカー。同社では、高効率のプロペラを開発するために、2008年からCFDシステムを導入しており、Dell EMC PowerEdgeサーバーによるHPCC(High Performance Computing Cluster)システムを構築。サーバーを随時追加することで、解析時間の短縮と精度の向上を目指してきた。

 一方で、近年では船舶はEEDI(エネルギー効率設計指標)基準値をクリアすることが求められ、より高効率なプロペラが必要とされ、鯨などの海洋生物に与える影響も懸念されるため、より静音性が高く、船内環境を快適にするための振動の少ないプロペラの開発も求められるようになってきた。また、ナカシマプロペラでは、プロペラ単体だけでなく、省エネ付加物などの新商品開発にも注力しており、よりメッシュ数の多い高精細な解析が必要とされていた。

ナカシマプロペラ株式会社活用シーン

 こうした課題を解消するため、ナカシマプロペラではIntel Xeon E5-2600 v3を搭載した「Dell EMC PowerEdge M630」ブレードサーバーを96台追加導入。ナカシマプロペラのHPCCシステムは、244ノード、約5000コアによる並列処理が可能となった。

 「Dell EMC PowerEdge M630」の採用にあたっては、以前の機種よりも並列環境での性能が高くなっていることが評価ポイントとなった。また、ハーフハイトの2ソケットブレードサーバーにすることで、ケーブルの数を少なく、熱効率や電力効率を高くできることも選択理由として挙げている。

 ナカシマプロペラのエンジニアリング本部プロペラ設計部で課長代理を務める廣田雅則氏は、CFD上では、300mの実寸サイズのバーチャルな船体を簡単に作成し、実機スケールで計算することが可能です。ただし、プロペラ単体では1000万程度だったメッシュ数が、船体全体では6000万メッシュ以上に増えることになり、解析時間にはより多くの時間が必要となってきます。これまでのシステムでは、バーチャル水槽の解析に約2週間の時間がかかっていましたが、『Dell EMC PowerEdge M630』を96台追加したことによって、解析時間を2日くらいに短縮できるようになりました。また並列で流せる計算数も、従来の約70~80倍に増大し、設計から製造のフェーズに解析を含めることが可能となったため、品質向上にも貢献しています」と述べている。