ニュース

中小企業へのWindows 10の導入は進むも、実務での稼働は一部にとどまる~JCSSA調査

クラウドサービスは導入増加も、中小規模企業では未導入企業の割合が高い

 一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(以下、JCSSA)は1日、中堅中小企業を中心としたITの導入などに関するアンケート調査の中間報告を発表した。中堅中小企業では、Windows 10の導入は増えたが実務での稼働は一部にとどまり、クラウドサービスについては導入割合が増加、サポートサービスについては約半分の企業が企画時からのサポートを希望しているという結果となった。

 調査は2016年9月~10月に実施したもので、対象企業は従業員数21人~350人の中規模企業360社、従業員数20人以下の小規模企業392社、および協会の会員顧客企業141社。

 Windows 10の導入状況については、昨年度のクライアントPCのOSの導入状況と、今年度のWindows 10無償アップグレード終了後のOSの導入状況を調査。昨年度は、Windows 10の発売直後のため導入率は9~10%だったが、今年度の調査では54~60%の企業がWindows 10を導入していると回答した。ただし、旧バージョンのOSの稼働状況は昨年度とほとんど変わっておらず、Windows 10に切り替えた企業はあまりないと考えられるとしている。

クライアントPCのOSの導入状況(複数回答)

 Windows 10を導入している企業に、その用途について聞いた質問では、社内業務用として使っていると答えた企業が66~73%で、少しずつではあるが定着化の方向にあると分析。一方、社内検証用として9~34%の企業が使用しており、アプリケーションも含めて問題なく稼働するところまでは、もう少し時間がかかりそうだとしている。

Windows 10導入後の用途(複数回答)

 Windows 10への移行を進めている企業は6~8%、移行する予定だが時期未定とした企業は16~29%。移行する予定はないと回答した企業は22~42%で、特に小規模企業が42%と高く、その理由については、「必要性を感じない」(40%)、「ソフトが未対応」(34%)といった点が挙げられている。

Windows 10への移行予定時期

 クラウドサービスの導入状況については、導入割合が3年前に比べて増加。比較的規模の大きな会員顧客企業での導入が進んでいるが、中規模・小規模企業では未導入企業の割合が高く、まだまだクラウドが浸透しているとは言い難い状況だとしている。

導入しているクラウドサービスの推移(会員顧客企業)(複数回答)
導入しているクラウドサービスの推移(中規模一般企業)(複数回答)
導入しているクラウドサービスの推移(小規模一般企業)(複数回答)

 ただし、クラウドサービス未導入の企業に導入の検討状況を聞いた質問では、小規模企業でも11%、中規模企業では15%、会員顧客企業では25%が「検討している」と回答。クラウドサービスの利用は今後もさらに増加することが予測されるとしている。

今後のクラウドサービスの利用検討

 クラウドサービス以外のIT環境について、導入の優先順位を尋ねた質問では、小規模企業では「スマートデバイスの業務利用」、中規模・会員顧客企業では「サイバー攻撃への対策」がトップに挙げられている。

導入優先順位

 企業のIT部門が抱える問題としては、「導入コスト・ランニングコストが高い」「管理者となる人材の不足」「導入のための知識や技術が不足」を挙げた企業が多い。これに対するサポートサービスについては、46~50%の企業が「企画時からのサポート」を、31~33%の企業が「導入時からのサポート」を希望。サポート提供側の企業には、顧客のニーズをよく把握した提案や、コンサルティングも含めた対応のできる技術者の育成が急務だとしている。

IT部門が抱える問題(複数回答)
社外のサポートを必要とする時期の優先度