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日本オラクル、最新版データベースで企業のクラウド移行を支援

アンディ・メンデルソンEVPらが競合優位性をアピール

 日本オラクル株式会社は24日、最新版データベース「Oracle Database 12c Release 2」により、企業システムのクラウド移行を支援する取り組みを推進することを発表した。

 Oracle Database 12c Release 2は、同社のPaaSである「Oracle Cloud Platform」において、すでに提供されている「Exadata Express Cloud Service」に加え、「Enterprise Cloud Service」「Exadata Cloud Service」を11月、「Exadata Cloud Machine」を12月に提供開始する。

 今回の発表に伴って開催されたプレス向けの説明会では、"企業システムのクラウド移行を支援する取り組み"というテーマそのものよりも、他社のデータベースと比較して、オラクルのデータベースがどのように優れているか強調する場面が目立った。

 日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は、「Oracle Database 12cの"c"はクラウドの"c"。クラウドに最適化されたデータベースであるという意味だ。オラクルのデータベースはどのプラットフォームでも動作し、アプリケーション資産を変更しなくても他のプラットフォームに移行することができるため、お客様の投資を保護できる。多種多様な開発言語をサポートし、データへのアクセスはオープンなSQLによって実行される。AWS AuroraやSAP HANAのような限定的なデータをサポートするのではなく、すべてのデータをサポートする」と述べた。

日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

 米Oracleにおいてデータベース開発の責任者を務めるアンドリュー(アンディ)・メンデルソン氏は、「オンプレミスからクラウドコンピューティングへの世代変更の時代にあって、データベースには迅速性(Agility)、伸縮性(Elasticity)、低コストへの要求が高まっている。クラウドに最適なOracle Database 12c Release 2は、クラウドに最適なデータベース」と述べ、オンライン・クローン、リフレッシュ、再配置で迅速性を向上する「マルチテナント」、柔軟な拡張性を実現する「Sharding」、パフォーマンスを最大で60倍高速化できる「インメモリ」といった特徴をアピールした。

 さらにメンデルソン氏は、11月にもクラウドでの提供が開始されるExadata Cloud Serviceについて「データベースに最適化された唯一のIaaS上で動作するExadata Cloud Serviceは、クラウド時代の最高のデータベース。全ての高度なオプションが搭載済みで、オンプレミスのオラクルデータベースと100%の互換性があるため、容易にクラウドへの移行が可能。最も高速で可用性が高いクラウドデータベースであり、パブリッククラウドのすべての利点を享受できる」と述べる。

 また、AWSのAmazon Auroraとの比較を強調し、「Amazon AuroraはAWS上でしか動作しないが、Oracle Database 12c Release 2は、オンプレミス、Azure、Oracle Cloudなどどのような環境でも動作し、お客様により多くの選択肢を提供できる。また、Oracle CloudはAmazon AWSよりも高速で、ベンチマークの結果はoracle.comで公開している。コスト面でも優れている」と述べた。

米Oracle データベース・サーバ技術担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏

 日本オラクル 執行役副社長 クラウド・テクノロジー事業統括の石積尚幸氏は、「現在、多くの企業がクラウド上でSoE(システムズ・オブ・エンゲージメント:人との関係を構築するシステム)を展開しているが、Database 12c Release 2であればSoR(システム・オブ・レコード:記録のためのシステム。基幹システムなどを意味する)をクラウドに移行することができる」と述べる。

 さらに同氏はOracle Database 12c Release 2のコスト面での優位性についても「マルチテナントアーキテクチャは、データベースの高密度集約を可能にし、ライセンスやハードウェアのコストを大幅に節減して高い費用対効果を得ることができる」と述べた。

 シングルインスタンスのデータベースと比較すると、同じ環境で5倍の数のデータベースを統合可能で、必要なメモリサイズを87.5%カットすることができるのだという。

 また、開発生産性を高める施策として、バージョンアップ、パッチ適用、パラメータ変更などを実施する前に、Oracle Cloud上でテストすることができる「Real Application Testing in Cloud」のサービスを紹介。テストの工数やコストを削減できるという。

日本オラクル 執行役副社長 クラウド・テクノロジー事業統括の石積尚幸氏

 なお、企業システムのクラウド移行を支援するさまざまな取り組みとしては、次の施策が行われるという。

「ISV Cloud Ready プログラム」

パッケージ・ソフトウェアを提供するソフトウェア・ベンター(ISV)の支援。

オラクル・コンサルティング・サービス

クラウドロードマップの策定支援、Oracle Database 12c Release 2設計/構築支援/早期移行支援、DBA支援

クラウド・エンジニアの育成

クラウド化に向けたデータベース技術とアプリケーション開発の技術者コミュニティ構築を目的としたセミナー「Oracle Database Technology Night」および「Oracle Cloud Developers Meetup」を展開