東北大学、XenDesktopとNetScalerで仮想デスクトップ環境を構築

　シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社（シトリックス）は11日、東北大学が、Citrix XenDesktopおよびCitrix NetScalerを導入し、約1600名の事務職員が利用する仮想デスクトップ環境を構築したと発表した。

　東北大学は、約900台のPCが2016年2月にリースアップを迎えるにあたって学内のPC台数を調べたところ、業務システムにアクセスできるPCと個人の使うPCがそれぞれ用意されており、さらにネットワークもシステムごとに分離して構築されていたことがわかったという。

　また、端末はすべて各部の資産として管理されているため、職員が異動する際はそちらの端末を新たに利用する必要があり、USBメモリなどを使ってメールやドキュメントなどの事務データを移行していたとのこと。

　こうした状況を受け、東北大学では、セキュリティの強化や職員の利便性向上、システム全体のコスト最適化を図るためには、PCのリース更新ではなく、インフラの部分から最適化するための仕組みが必要と判断し、仮想デスクトップ導入を決定した。

　そして、必要とする機能と性能に加え、すでに利用していたCitrix XenAppのライセンスを有効に活用し、コスト効果を高めるシステムの提案を条件として選定を進めた結果、価格、実績などの評価、検証環境での試用を経て、2016年1月にXenDesktopの採用を決定した。

　一方で全学ネットワーク内には、事務LAN、学部ネットワークなど複数のネットワークが存在。学部ネットワークから事務LAN上の業務システムを利用する場合はユーザーごとにアクセス許可を与える必要があったため、作業負担とコストが課題になっていた。そこで、この課題解決およびシングルサインオン（SSO）の実現を重要視し、XenDesktopとの親和性の高いNetScalerを採用している。

　東北大学の新しい仮想デスクトップ環境は2016年8月より稼働開始し、全学ネットワーク内のPCから、XenDesktopおよびNetScalerで構成された1600台のWindows 10仮想デスクトップを利用できるようにした。

　Windows 10の仮想デスクトップで提供されている環境は、Office 2016 PlusとWebブラウザが利用できるシンプルなもので、この環境を介して、XenAppで仮想化した財務アプリケーションを含む7つの業務システムに、SSOでシームレスにアクセスできるよう構成されているとのこと。

　なお、この仮想デスクトップ環境の構築後、課題となっていた職員の異動時の作業負担は軽減されたほか、端末からの情報漏えい対策としても機能しており、これまで懸念となっていたセキュリティリスクも低減された。

　また仮想デスクトップを介し、SSOでアプリケーションへのシームレスアクセスが実現したことで、職員の利便性も向上している。さらにこの結果、事務LAN以外の全学ネットワーク上のユーザーから要望があった場合に、新たに事務LANを引く必要がなくなり、課題となっていたネットワークへの二重投資が解決できたとした。

　今後は大学病院においても、医師や医療スタッフの利便性向上のため、XenAppを活用して、診療支援端末から外部インターネットへのアクセスを分離することを検討している。