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NTT、250Gbpsの短距離光伝送に成功、高速電子デバイスと信号処理で高速信号を生成

 日本電信電話株式会社(NTT)は23日、高速電子デバイスと信号処理を組み合わせた高速信号を生成する新技術を用いて、イーサネットなどで使われている光強度変調方式で250Gbpsの短距離光伝送に成功したと発表した。

 イーサネットなどで使われる短距離光伝送では、光部品の構成が簡単な強度変調方式が用いられている。デジタル信号処理チップの出力をアナログ信号に変換するため出力部分に設けられたDACと呼ばれるCMOS電子回路は、周波数帯域が30GHz程度であるため、より広い周波数帯域(60GHz以上)を必要とする250Gbps級の伝送に必要となる高速な信号の出力が困難だった。

 今回NTTが開発した「帯域ダブラ技術」は、DACの限界速度の影響を受けないようにチップ内の信号処理により、入力信号をDAC出力限界速度以下の低速な信号に変換した2系統の信号として出力する。その後、デジタル信号処理チップの外部に接続したCMOS回路よりも高速動作が可能な化合物半導体の電子回路(AMUX)を用いて1つに合成することで、高速な信号の出力を実現し、ボトルネックを解消している。

【お詫びと訂正 2016/09/24】
 記事初出時、DACと呼ばれるCMOS回路の周波数帯域を530GHz程度と記載していましたが、正しくは30GHz程度となります。お詫びして訂正します。

帯域ダブラ技術と従来技術の比較

 さらに、AMUXで生成が予想される余分な信号について、AMUXで合成されるときに打ち消しあうように逆算して前置信号処理で2系統の信号を設定する手法により、正確な高速信号の生成を可能にしている。

 今回、帯域ダブラ技術により、周波数帯域60GHzを実現し、これにADSLなどで用いられる光の強度の複雑なパターンを用いて一度に多くの情報を送る方法(DMT変調)を用いることで、250Gbpsで距離10kmの伝送に成功した。

 この成果では、1つの波長で250Gbpsの短距離光伝送を実現しており、将来的に4つの波長を使って並列化することで、現在標準化されている100Gbpsイーサネットの10倍の伝送速度となる、毎秒1Tbps伝送も可能となるなど、データセンターなどで使われる将来の短距離大容量通信を実現する光伝送技術として期待されるとしている。

伝送実験の構成
伝送結果