ニュース

「戦略的IT投資」を推進する専任組織の設置企業は70%超えも、予算不足や人材不足などが課題に~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は9日、国内企業の情報システム部門の変化に関する調査結果を発表した。調査は、従業員数1000人以上の大企業の組織やIT投資に関するアンケート調査結果/直接取材結果をもとに、国内企業の情報システム部門の現状、国内企業の戦略的IT投資の実施状況、戦略的IT投資への情報システムの関与と変化について分析を行ったもの。

 調査によると、競争力強化や業務プロセス改革などを目的とした「戦略的IT投資」を推進する専任組織を設置する企業は70%を超え、その中でも情報システム部門内に設置する企業が45%に上るとしている。

情報システム部門の規模変化:専任組織の設置状況別(出展:IDC Japan)

 第3のプラットフォーム(モビリティ、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)などを活用した戦略的IT投資の実施については、情報システム部門が中心的な役割を担う企業が多いものの、ユーザー部門や専任組織が関与することも多く、従来のIT投資よりも情報システム部門とステークホルダーの関係は複雑化していると分析。戦略的IT投資における情報システム部門とユーザー部門の関係を分析すると、ユーザー部門が主導的な役割を担い、情報システム部門が後方支援する垂直分業型や、両者が協業する水平協業型など6種類のパターンに分けられるとしている。

 戦略的IT投資を実施/実施予定の企業では、情報システム部門は拡大傾向にあり、業務効率化や人材育成を進めつつ、より早い段階から戦略的IT投資に関与する傾向が見られると指摘。一方、IT予算の不足(実施予定企業の29.2%)、IT戦略の方向性が不明確(同33.8%)、情報システム部門の人材不足(同65.5%)といった課題に直面する企業が多く見られるという。

 IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は、「ITサービスベンダーは国内企業の戦略的IT投資の推進パターンを、情報システム部門だけでなく、ステークホルダーとの関係性などを複合的に捉え、変化に対応した提案、変化を先取りした提案を進めるべきである」と述べている。