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事業者データセンター投資は拡大も、企業内データセンター投資は抑制傾向~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は26日、国内のデータセンター管理者を対象とした調査結果を発表した。国内のデータセンター管理者321人にアンケートを行ったもので、主にデータセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査している。調査対象の内訳は、金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンターの管理者が260人、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの管理者が61人。

 調査によると、事業者データセンターでは57%の管理者が、今後5年間にデータセンター投資が増加する見込みと回答。一方、企業内データセンターで投資が増加するという回答は27%にとどまった。

データセンター投資の増減見込み(今後5年間)(出展:IDC Japan)

 IDC Japanでは、企業内データセンターではIT資産を事業者データセンターやクラウド環境へマイグレーションする取り組みが加速しており、自社のデータセンターファシリティへの投資を抑制していると分析。一方、事業者データセンターではこうしたマイグレーションによって企業のITインフラを設置するファシリティが必要となり、投資の増加につながっているとしている。さらに、第3のプラットフォームを利用した新しいデジタル市場の拡大もクラウドサービス需要拡大を加速させており、事業者データセンター投資の拡大に追い風となっていると見ている。

 データセンターファシリティ投資や運用に関する取り組みについての調査では、事業者データセンターではファシリティ新設/増設の取り組みとともに、既存データセンターの運用効率化(運用スタッフの削減など)に取り組むケースが多くなっている。

 これについては、事業者データセンター間の競争が激化するにつれて、事業者は新たなデータセンター建設と既存データセンターの運用改善を同時に実施しなければならないという難しい課題に直面していると分析。IDC Japan ITサービスリサーチマネージャーの 伊藤未明氏は、「近年増加している大規模データセンターでは、電力コストが運用コストの大部分を占める。データセンター事業者はこうした大規模データセンターの省エネ性能向上に取り組むことによって、コスト競争力を強化することが重要である」と述べている。