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東京大学、全学事務システム基盤に富士通とマイクロソフトのパブリッククラウドを採用

 富士通株式会社と日本マイクロソフト株式会社は9日、国立大学法人東京大学が、全学生・教職員、5万人の教育、研究活動の変革と業務改革の推進に向け、富士通と日本マイクロソフトが提供するパブリッククラウドサービスを採用したと発表した。

 富士通は東京大学とともに、日本マイクロソフトの協力を得ながら、すべての学生と教職員など、約5万人のIDを一括管理可能な統合認証基盤を含めた全学事務システム基盤の構築と、既存システムの移行を行った。すでに、全学事務システム基盤の構築と、人事・給与システムの移行を完了し、運用を開始している。

 東京大学では、伝統的に各学部・研究科の独立性が強く、事務システムが個別に運用されている状況にあり、利用者の利便性とセキュリティ強化、運用管理の効率化のため、統一された認証基盤の構築が急がれていた。

 東京大学では、クラウドプラットフォーム「FUJITSU Cloud Service A5 for Microsoft Azure(以下、A5 for Microsoft Azure)」および「Microsoft Azure」を2016年2月に運用開始。統合型学内情報共有クラウドサービス「Office 365 Education」を2016年6月に運用開始予定。また、2016年第3四半期提供開始予定の学術情報ネットワーク「SINET」の最新版「SINET5」と「Microsoft Azure」の直接接続も、今後運用する予定。

 富士通では、今回導入した「A5 for Microsoft Azure」は、オンプレミスで使用している既存システム(Hyper-V環境)との親和性も高く、オープンなクラウドプラットフォームのため、短期間でのシステム構築が可能と説明。設計期間を除き、1カ月で東京大学の事務システム基盤の構築を完了したとしている。

 また、東京大学は、2017年1月に学務システムのクラウド移行を計画しており、3カ月でのシステム基盤の構築を富士通が担当する。東京大学の人事・給与システムは、月末・月初や賞与の時期には必要とするリソースが増大するため、今回のクラウドサービス導入により、柔軟なリソースの増減をスピーディーに実施できるとともに、国内にある本番環境のリージョンとは別のリージョン(遠隔地)にバックアップを取得し、万が一のアクシデントや災害時に備えるとしている。

 クラウドサービスへの移行により、システムの保守と運用管理がクラウドサービスに一元化されるため、システムの運用管理業務負荷と、消費電力を大幅低減でき、東京大学では年間のシステム運用コスト3割、消費電力3割を削減可能と見込んでいる。また、2016年第3四半期には、定額のデータ転送料のみで利用できる「SINET5」とシステムを直接接続して運用することで、クラウドサービスとの接続費用も削減できる見込みだという。

 さらに、今回構築した統合認証基盤により、ユーザーの一元管理が可能のため、東京大学の大きな負担となっていたユーザーの新規登録や変更、削除などの業務負荷が軽減される。

 今回導入した「Azure Active Directory Premium」の機能により、ユーザー名とパスワードに加えて、利用者があらかじめ登録してあるスマートフォンにワンタイムパスワードを送信し、認証要素として利用することで、認証手段の多層化が可能。クラウドサービスの1つとして提供される、各システムのアクセスおよび使用状況レポートを利用してリスク分析が可能で、これにより、高度なセキュリティを保ちながら、学内外で利用するサービスに最適な認証方式を選択できるとしている。