インタビュー
セールスフォース 川原均社長をDreamforce 2014会場で直撃
新サービスで「統合され、モバイルが進展し、スピードがあがる」
(2014/10/16 06:00)
米salesforcce.comが、米国サンフランシスコで開催しているDreamforce 2014では、Analytics Cloudの発表やクラウド型分析プラットフォーム「Wave」、Salesforce 1 Lightningなどの新たなサービスが数多く発表された。
果たしてこれらのサービスは、salesforcce.comにとってどんな意味があるのか、そして、日本での事業展開や日本の顧客に対して、どんな影響を及ぼすのか。salesforcce.com マーク・ベニオフ会長兼CEOの基調講演終了後に、Dreamforce 2014の会場において、日本法人の川原均社長兼COOを直撃した。
インテグレートされ、モバイルに使えて、スピードがあがってきた
――今回のDreamforce 2014および基調講演を通じて、どんなことを感じましたか。
今回の一連の発表によって、いつでも、どこでも、誰でも、という動きがさらに加速する環境が整ったといえます。企業におけるIT利活用がモバイルへと広がり、さらに、スピードそのものがビジネスへと直結する一方で、それにあわせて当社がインテグレートされてきた。
これにより、エンドユーザーにバリューを届けることができるようになる。インテグレートされ、モバイルに使えて、スピードがあがってきたというのが、今回のDreamforce 2014で発表されたサービス、プラットフォームによって実現された新たな世界だといえます。
そして、当社のプラットフォームを使って、なにか判断をしたいという場合にも、新たな「Analytics Cloud」といったサービスを利用することで、それに対応できるようになったわけです。
――マーク・ベニオフCEOは基調講演において、「カスタマーサクセスプラットフォーム」という言葉を提示しました。これまでの「カスタマーカンパニー」という言葉をより具現化した提案へと歩みを進めたような感じがしますが。
いままでは、CRMやコールセンターといった機能がばらばらに提供されてきましたが、これが統合され、相互に連携したプラットフォームとして提供できるようになったことで、顧客にとって価値のあるものが提供できるようになってきた。これがカスタマーサクセスプラットフォームの実現につながっています。
――Analytics Cloudを発表し、そのプラットフォームとしてWaveを発表しました。これはsalesforce.comにとって、どんな意味を持ちますか。
Force.comやHerokuといったアプリケーション向けのプラットフォームと同じように、新たな分析プラットフォームとして、Waveが用意されました。いままでのプラットフォームにさらに広がりができたといえます。
例えば、これまではデータを分析して、ダッシュボードで見ようと思っても、一度オフィスに戻って、PCでしか見ることができなかったものが、Analytics Cloudを利用すれば、出先で判断できるようになる。統合した環境だからこそ、こうした使い方ができるようになります。
ビッグデータを活用し、ディープな分析を行うというところにフォーカスするのではなく、モバイル環境で利用できること、視覚的にもゲーム感覚で利用できるというところが、これまでの分析ツールとは異なります。いつでも、どこでも、誰でも使える環境が提供されているという点が他社のアプローチとは異なる。さまざまな意思決定も、出張先で端末を見ながら行うといったことができるようになります。
――これは、日本においても提供していくことになりますか。
日本でも提供していくことになります。アナリティクス分野への出遅れを指摘する声もありますが、われわれはまったく違うアプローチでの展開であり、出遅れたという感じはありません。
――新たに発表されたSalesforce 1 Lightningのインパクトとはなんですか。
当社の顧客がこれだけ増加すると、もっと多くの幅広いアプリケーションを使いたいという要望が出てきます。Salesforce 1 Lightningは、まったく新たなアプリケーションを、素早く開発するためのものであり、Salesforce 1を次の世界へと進化させることができるといえます。
――そして、Sales Cloud 1やService Cloud 1、Community Cloudも発表されました。
今日の基調講演のデモンストレーションにおいても、ご理解をいただけたと思いますが、Sales CloudやService Cloud、そしてMarketing Cloudが、Salesforce 1に統合されたことで、モバイル環境を含めた一連の流れのなかで利用できるようになった。ここに大きなポイントがあります。12月4日に、都内でSalesforce World Tour Tokyoを開催しますが、ここでWaveをはじめ、今回発表した新たなサービスを紹介する予定です。
――日本に帰国してからどんな動きを開始しますか。
まずは今回の新たなサービスや仕組みを、日本の方々が使えるようなプラットフォームとして整備していきます。日本語のサポートや、日本のデバイスとあうような形へと整備し、その次に、これらの新たなサービスを活用したアプリを開発できるパートナーをさらに広げていきたい。昨年、Salesforce 1を発表して、新たな世界が広がりました。今年の発表は、それをアプリケーションの世界にまで広げた。そして、これまであまりやってこなかったアナリティクスの領域にも踏み出した。この点でも多くのパートナーには高い関心を持ってもらえると期待しています。