インタビュー

ディストリビュータやユーザーへのサポートを強化〜Quanta日本法人設立の狙い

 大手ODM/OEMベンダーである台湾Quanta Computerは、近年、サーバーやネットワーク機器、ストレージなどのデータセンター分野にも注力している。2014年12月に販売子会社であるQuanta Cloud Technologyの日本法人を設立し、国内での販売、顧客サービスを一層強化していく予定だ。

 Quantaのネットワーク機器に着目すると、2014年7月にネットワールドが同社のベアメタル(ホワイトボックス)スイッチの取り扱いを開始したことが新しい。さらに2014年12月には、LinuxベースのネットワークOS「Cumulus Linux」を搭載したソリューションとしての提供も開始している。ネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」との連携によって、“SDDC(Software-Defined Data Center)”の普及を推進する狙いもあるという。

 従来のネットワーク製品は、ネットワークベンダーがハードウェアもネットワークOSも設計・開発していた。昨今の主流は、チップベンダーが開発した汎用スイッチチップを搭載した製品であるが、ソフトウェアとハードウェア(筐体)はネットワークベンダーが開発している点に違いはない。

 ホワイトボックススイッチは、Quantaのような機器ベンダーのハードウェアに汎用スイッチチップを搭載し、ネットワークOSは用途や予算に合わせて自由に選択できる、新しいネットワーク機器の仕組みである。

既存のスイッチとホワイトボックススイッチの違い

 最近では、サーバー/ストレージ仮想化技術の発展によって、非常に高密度なシステムが普及しつつある。したがって、広帯域なネットワークが必要となるが、従来の10G/40Gスイッチは高価で、なかなか投資に踏み切れない組織も少なくない。

 Quantaとネットワールドが提供するホワイトボックススイッチであれば、比較的安価に高速なネットワークインフラを構築できるとあって、注目度が高い。ネットワールドによれば、2009年当時の価格帯と比較した場合、1Uサイズの10Gスイッチは約半額に、ポート単価は4分の1にまで低下しているとのことだ。

 そこで今回は、Quanta Computerのシニアバイスプレジデントであり、QCT Japanのゼネラルマネージャーを兼務する楊晴華氏に、同社の戦略や日本法人設立の狙いについて話を伺った。

名の知れたクラウドのほとんどにQuantaの製品が採用されている

──Quantaグループの最近の取り組みについて教えてください。

楊晴華氏

 当社はODMメーカーとして、世界中で販売されているノートブックPCのうちの約4分の1を生産しています。2013年には、Fortune Global 500に選出され、409位にランクインしています。

 最近のQuantaグループは、サーバーやストレージ、スイッチ、ラックシステムなど、クラウド・データセンター関連市場への注力しています。この分野は、すでに当グループの全事業の中でも大きな割合を占め、さらに伸び続けているところです。

 実際、グローバルに活躍しているトップ30のクラウドサービスベンダーのうち、約半数の企業で当社の製品を導入していただいています。また全世界のサーバーのうち、800万台以上、約7分の1が当社で生産されたものです。

 よく名の知れた、読者の皆さんが毎日利用しているクラウドサービスのほとんどに、Quantaの製品が組み込まれているのです。

──国内では、ネットワールドによるベアメタルスイッチの取り扱いが新しいトピックですね。データセンター市場におけるQuantaの強みとは何でしょう?

 当社はODM/OEMメーカーとして、サーバーやストレージ、スイッチなどのデータセンター向け製品の製造にかかわり、14年以上の経験を積んでいます。すべての製品を自社で設計・開発から製造まで一貫して行っていることが、私たちの強みです。

 自社開発の利点の1つは、高い品質を保てることです。当社ですべての生産工程を管理しているため、安定的に高品質の製品を製造することができます。また、新しく有用な技術が登場したときには、最新の情報を入手し、リアルタイムに製品へ組み込むことができます。

 当社のネットワーク製品は、ソフトウェアの制約がなく、どのようなサイズのユーザーもカバーできるラインアップをそろえています。中でもハイパースケールデータセンターのユーザーには、当社の高度なエンジニアリングと革新的なクラウド技術を高く評価していただき、数多くの導入実績を積んできています。

 もともと当社は、単純なデータセンター製品のODM/OEMメーカーにすぎませんでした。クラウド技術に注力し、直販を開始したのは、2010年のことです。サーバー、ストレージ、ネットワークスイッチ、ラックシステムまで、自社で開発・製造し、一貫したサービスを提供しており、たった数年で世界的にも最大級のクラウドハードウェアプロバイダーに成長しました。

ベンダーロックインされない点が最大の特徴

──ホワイトボックススイッチは流行するか。

 ホワイトボックススイッチの最大の特徴は、ネットワークOSに制限がなく、つまりベンダーロックインがないことです。選択肢の幅が格段に広く、当社が提供するネットワークOSを搭載したソリューションとしても、ベアメタルのままでも購入していただけます。もちろん、当社のハードウェアを使い続けることを強制するつもりもありません。その意味でも、一度はQuantaのホワイトボックススイッチを試していただきたいと考えています。

 今後のネットワーク市場において、こうした自由度の高いベアメタルスイッチは流行するでしょう。

 すでに当社のデータセンター向け製品は、多くのクラウドサービスベンダーで活用されていますし、ネットワーク製品もSDNソフトウェアベンダーなどの検証にも使われています。当社も、ネットワークからストレージ、サーバーなどの分野で、最新のソフトウェアデファインド技術をより幅広く提供し、高いシェアを獲得できるという自信があります。

Quantaのベアメタルスイッチ

日本法人設立は技術サポートの強化が目的

──日本法人を設立した背景と、ネットワールドとの協業について教えてください。

 特に当社が日本市場に進出する際には、ネットワールドをはじめ、さまざまな企業から支援を受けることができ、非常に感謝しています。日本法人を設立して、技術的なサポートを強化することによって、この恩返しをしたいという思いがありました。

 Quanta ComputerもQCTも、設計・開発や製造段階でのコアな品質管理は追求していきます。しかし、マーケティングやセールスの面では、現地のことに詳しいディストリビュータやベンダーとパートナーシップを結ぶことが重要です。

 ネットワールドとは、共に成長できるパートナーとして、今後もますます協力していきたいと考えています。

(廣瀬 治郎)