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【SDN Japanレポート】OpenFlowの生みの親が語るSDN開発の経緯や意義 (SDNを作る側と使うクラウド側によるパネルディスカッション)

SDNを作る側と使うクラウド側によるパネルディスカッション

パネリスト。左から、進藤資訓氏(ヴイエムウェア株式会社)、兵頭弘一氏(アリスタネットワークスジャパン合同会社)、中井悦司氏(レッドハット株式会社)、水野伸太郎氏(日本電信電話株式会社)、北瀬公彦氏(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)

 この日には、パネルディスカッションも2コマ開かれた。

 パネルディスカッション「SDNを作る側と使う側」では、金海好彦氏(NEC)をコーディネータに、SDN製品のベンダー側と、それを使うクラウドなどの側が、SDNによる業界の変化について議論した。

 金海氏はまず「SDNと既存技術の相互接続はどうなるか」について問題を提起した。それに対して、兵頭弘一氏(アリスタネットワークス)が「かつてはIPのほかにAppletalkなども同じネットワークに乗っていた」という例を挙げると、進藤資訓氏(VMware)は「役割が違うものはinteroperateできるべきだが、同じ役割のものがfederateするのは難しい」と指摘。水野伸太郎氏(NTT)は「適材適所で使えるアーキテクチャを使って、上位でオーケストレーションするのは重要」と語った。

金海好彦氏(日本電気株式会社)
兵頭弘一氏(アリスタネットワークスジャパン合同会社)
進藤資訓氏(ヴイエムウェア株式会社)
水野伸太郎氏(日本電信電話株式会社)

 また、SDNでネットワーク製品がコモディティ化することについての質問では、機器ベンダーである兵頭氏は「BGPやSTP、リンクアグリケーションなどをもう一度いちから実装するのは大変。また、コンピュータのCPUがIntelに収束したように、スイッチのチップはBroadcomなどに収束して、スイッチのハードウェアはコモディティ化している。そうした部分はベンダーに任せて、その上の使い方をSDNで考えるべき」と回答した。

 一方、中井悦司氏(レッドハット)は、「技術がどんどん変わっていく世界で、特定のベンダーでないといけないというのはリスクとなる。コモディティ化されたものがいろいろなベンダーから手に入るようになり、ユーザー側が技術の進化にあわせて必要なものをインテグレーションしていく腕前が求められていく」と指摘。北瀬氏(シトリックス)も「いまはネットワーク機器ベンダーごとにエンジニアがいるが、SDNで違う流れになる可能性があるのではないか」と語った。

中井悦司氏(レッドハット株式会社)
北瀬公彦氏(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)

 さらに、垂直統合モデルと水平モデルについて金海氏が尋ねると、進藤氏は「選べる自由が重要。理想論としては、水平も垂直も選べるのがベター」と答えた。

 最後にそれぞれのメッセージとして、北瀬氏は「複数のベンダーのソリューションを組み合わせて検証したものを用意しておいて、提案することが必要とされていく」、水野氏は「SDNコントローラを作る人には、肥大化させることなく、モジュール化などで組み合わせて使えるようにしてほしい」、中井氏は「1990年代にはネットワーク屋もサーバー屋もなかったが、インターネットがビジネスになるにしたがって分業化されていった。SDNで一度リセットされて、エンジニアにとっては面白い時代が来たので、まず遊んでおくと、また産業化されて分業化されたときにも有利になる」、兵頭氏は「仮想化してもしっかりした物理インフラは必要。それをどう作っていくかがハードウェア屋ら見たSDNで、運よく面白い時代にあると思う」、進藤氏は「選択した先でロックインを恐れるより、選択の自由をエンジョイしてほしい」と語った。

高橋 正和