サイボウズがイベント開催、cybozu.comの新制度や新機能など紹介

スペシャルゲストにアントニオ猪木、青野社長に闘魂注入!


 サイボウズ株式会社は9月26日、同社のクラウドサービスに関するカンファレンス「cybozu.comカンファレンスII」を開催した。3月の「cybozu.comカンファレンス2012」に続いて第2回の開催となる。

 基調講演では、代表取締役社長の青野慶久氏がクラウドサービスの最新状況や導入事例を紹介。さらに、kintoneのパートナー認定資格制度や、kintoneの追加予定機能、ユーザーの専用サブドメイン向け開発プラットフォーム「CyDE-P」の計画などを明らかにした。

cybozu.comカンファレンスIIサイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久氏

 基調講演のゲストとして、アントニオ猪木氏も登場。壇上で青野社長と対談した。

アントニオ猪木氏が登場し、青野社長と対談
アントニオ猪木氏が青野社長に闘魂を注入ステージ上で青野社長が首に掛け、参加者にも配られた「闘雲」タオル

cybozu.comのインフラを説明、大規模導入事例も紹介

 青野氏は冒頭、現在を「激動のクラウド時代」とし、サイボウズとしては「世界に通用する日本のクラウドを作る」と宣言した。また、累積投資金額として20億円超という数字を挙げて、「アントニオ猪木 vs. モハメッド・アリ戦を実現するのに、やはり20億円をかけたと聞いている。これは世界に勝つための投資」と語った。

 続いて、ノークリサーチ社が中小企業1000社を対象に調査したレポートから、「導入をしている・予定しているクラウド」としてcybozu.comが12.6%で1位となったという数字を紹介した。なお、青野氏によると、cybozu.com上のクラウドサービス利用者では、従来からのサイボウズユーザー、競合製品からの乗り換え、新規ユーザーがそれぞれ約1/3とのことで、「特にオンプレミス製品より小規模な企業でクラウド版の新規ユーザーが増えている」との話だった。

 そのうえで、cybozu.comのインフラの運用体制を紹介した。複数の国内データセンター上で、基盤も自社で開発して運用している。セキュリティ対応としては、専用サブドメインでの利用や、2ファクター(要素)認証、モニタリング体制について説明した。

 また、問題になりがちなデータの安全性として、ストレージサーバーの構成を説明した。10台でRAID6を組み、ほかに予備として2台が待機。それを稼働系と待機系で二重化したうえ、定期的にバックアップ。さらにそのバックアップを東西日本に分けて二重化しているという。

 サイボウズ製品、特にクラウドサービスが、大手企業でも使われるようになってきたと事例として、ほけんの窓口グループ株式会社が登壇した。ちょうど、カンファレンス翌日の27日からクラウド版に移行という。店舗でのコンサルティングを重視するビジネスモデルで本社からの情報連絡が生命線のため、従来からサイボウズガルーンを数千人規模で導入していた。しかし、店舗や人が急速に増え続ける一方、システム部門の人員やサーバーのリソースも足りないため、「クラウド化は必然」だったと語った。

cybozu.comではクラウドの基盤から自社開発&運用cybozu.comの信頼性向上のための取り組み
cybozu.comのストレージサーバーの構成
数千人規模のサイボウズガルーンをクラウドに移行する、ほけんの窓口グループ株式会社の事例

企業内の情報共有を力説、kintoneのパートナー制度も発表

 さらに青野氏は、Google Appsを使ってみた経験から、サイボウズのグループウェアのスケジューラー機能と比較。「Google Appsは個人のスケジュールを承認して共有する。サイボウズではグループで情報共有するのが前提。考え方が違う」と語り、グループウェアによる企業内の情報共有について論じた。「以前、“No-Emailキャンペーン”として、メールからグループウェアに乗り換えようと訴えかけたが、当時は反対意見が多かった。しかし、最近では欧米から企業内SNSの波が来て、ようやく時代がサイボウズに追いついた」(青野氏)。

 そのうえで、野中郁次郎氏の著書「知識創造企業」の言葉を引きながら、企業での情報共有の重要性を力説し、サイボウズ製品によるデータ、スケジュール、メール、タスクの情報共有の実例を紹介。さらに、会議の予定を設定した時点から事前のディスカッションが開始するところや、応訪予定の中に客先情報が表示されるところ、顧客サポートのメールを共有するところ、スマートフォンから同じ情報にアスセスするところなどを実演した。

 また、クラウド専用のデータベースアプリケーション開発プラットフォーム「kintone」を説明。最近追加された機能として、自分宛に届いた新着情報にデータベースを横断して知る機能や、テンプレート化してノウハウを横展開する機能などをデモした。さらに、API提供機能の例として、Excelから報告書を入力する例や、公開フォームを作成する「フォームクリエイター」などを紹介した。

 これら現状を説明したあと、新しくkintoneのパートナー制度が発表された。認定資格としては、kintoneの販売とコンサルティングに関する「認定セールスアドバイザー(SA)」と、kintoneアプリ開発に関する「認定クラウドディベロッパー(CD)」の2種類が新設される。kintoneのパートナーへの施策として、cybozu.com開発環境の提供や、技術支援、マーケティング支援、パートナー専用サイトなども用意するという。

 新制度の背景として、基調講演のあとで開かれた記者発表で、サイボウズ株式会社 ビジネスマーケティング本部 本部長 林田保氏は、従来のサイボウズ製品のパートナーでは素のシステムを使った構築が中心だったが、kintoneではその上でシステムを開発して提案するケースが増えていると説明した。パートナー企業としても、コンサルティングや、地場の小規模なインテグレータ、既存ソフトとの連携など新しい分野が参加してきているという。

 パートナー代表として基調講演に登壇した内田洋行は、初めてサイボウズがクラウドに進出すると聞いたときに、サイボウズがサービス領域に進出することによるカニバリゼーション(共食い)を危惧したと告白。しかし、顧客から「サイボウズ単体ですべてを解決できるわけではない」と言われて、付加価値やインテグレーションの必要性に考えを改めたと説明した。

グループウェアの会議予定の上で事前にディスカッション往訪予定の中に取引先情報を表示
スマートフォンでも情報を共有サポート窓口のメールを共有
kintoneでデータベースを横断して新着情報をチェックkintoneでアプリをテンプレート化
kintoneパートナー認定資格制度kintoneのパートナー施策
セールスアドバイザー(SA)とクラウドディベロッパー(CD)の範囲kintoneのビジネスロードマップ
パートナー代表として内田洋行が登壇。当初はカニバリゼーション(共食い)も危惧したが、考えを改めたという

cybozu.comのロードマップや、kintoneのチーム機能、新開発プラットフォームも

 そのほか、今後の計画についても語られた。

 まず、cybozu.com全体のロードマップを公表。クレジットカード対応、SAML認証、サイボウズOfficeのワークフロー機能やUI自演、kintoneのスマートフォン対応などが挙げられた。

 また、開発中の機能としては、「kintone Space」を実演した。kintoneの中に部署などの「場(スペース)」を作る機能で、Spaceの中にアプリを追加したり、メンバーどうしでメッセージを送ったり、Skypeを呼び出したりできるという。

 同じく開発中のサービスとして、「CyDE-P」も紹介された。ユーザー専用サブドメインの中で、ユーザー管理や共通の認証を使ったアプリケーションを開発できる機能だという。

cybozu.comのロードマップ開発中の機能「Kintone Space」では、チームごとの場(スペース)が作られる
スペースごとに複数のアプリを組み込めるスペースを新たに作り、アプリを追加する
スペースからメンバーにSkypeで連絡する開発中の「CyDE-P」の説明。ユーザー専用サブドメインの中で、ユーザーのアプリケーションを開発できる

 最後に青野氏は、cybozu.comインフラと各アプリケーションのほか、kintoneアプリケーションやJavaScriptのカスタマイズなどの「外の環境」も重視していきたい説明。そのために販売パートナーや開発パートナー、教育パートナーなどパートナーが重要だと語って講演をまとめた。

カスタムアプリケーションなどの外の環境も重視していきたい、と青野氏
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(高橋 正和)
2012/9/27 06:00