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【NTT Com Forum】海底ケーブルからクラウド、ワークスタイル変革までさまざまなソリューションを展示

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月24~25日の2日間、自社イベント「NTT Communications Forum 2013」を開催している。

 ここでは、海底ケーブルからデータセンター、ネットワーク、IaaS、PaaS、アプリケーション、オフィス向けソリューションまで、下から上まで幅広いレイヤをカバーした展示会場の模様をレポートする。

海底ケーブルからデータセンターまで、グローバルなインフラ

 展示会場の入り口には、大きな地球儀が設置されている。この上に、世界中のNTT Comの拠点や海底ケーブル、ネットワークなどが表示されていて、目を引く。

 海底ケーブルについての展示も設けられているのは、長距離通信会社のイベントならではだ。海底ケーブルやそれを結ぶリピーターの実物が並べられているほか、ケーブル敷設船すばるの模型も置かれている。

展示コーナーの入り口で地球儀が迎える。世界中のNTT Comの拠点や海底ケーブル、ネットワークなどが表示されている
海底ケーブルおよびそれを結ぶリピーターの実物(左)と、ケーブル敷設船すばるの模型(右)

 NTT Comは世界中で148のデータセンターを持ち、エンタープライズ向けクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」にはそのうち9か国の11のデータセンターが使われていると説明されている。

 特に、2013年にオープンした東京都北区の東京第6データセンターが大きく紹介されていた。都内最大規模であり、NTTの局舎を結ぶケーブル設備「とう道」とも直結。ロータリーUPS方式によりスペースを削減し、ラックあたりのコストを下げたという。

世界各地に設けられたNTT Comのデータセンターの紹介
2013年にオープンした東京都北区の東京第6データセンター。都内最大規模であり、NTTの局舎を結ぶケーブル設備「とう道」とも直結する。ロータリーUPS方式によりスペースを削減し、あたりのコストを下げたという

グローバルインフラを生かしたクラウドサービス

 各種ソリューションの基盤となるのが、エンタープライズ向けクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」だ。グローバルなデータセンターとグローバルな閉域網サービス「Arcstar Universal One」の上で、SDNによるネットワーク仮想化により柔軟にリソースを構成できるのが特徴。会期直前には、インターネット接続とVPN接続の1Gbps帯域メニューや、SAPの認定などが発表されている。

 さらに、2014年6月に予定されている新サービスとして、VPNなどのネットワーク接続を、書類ベースではなくポータルから動的に追加できる機能も展示されていた。帯域や経路なども指定できる。

 そのほか、現在提供している、SDNを使ってオンプレミスとクラウドをレイヤー2(L2)ネットワークで接続する「BizホスティングEnterprise Cloudオンプレミス接続オプション」や「BizホスティングEnterprise Cloudコロケーション接続オプション」も展示している。

エンタープライズ向けクラウドサービス「BizホスティングEnterprise Cloud」。世界に散らばったデータセンターとグローバルネットワークサービス「Arcstar Universal One」の上で、SDNによるネットワーク仮想化により柔軟にリソースを構成できる
BizホスティングEnterprise Cloudで2014年6月に予定されている新機能。ネットワーク接続を書類ベースではなくポータルから動的に追加できるという。帯域や経路なども指定できる
業務サーバーをオンプレミスからクラウドに移行するために、両者をL2で接続し、IPアドレスを変更せずにサーバーを移行する「BizホスティングEnterprise Cloudオンプレミス接続オプション」(左)と、定常的な利用としてクラウドとコロケーションを接続する「BizホスティングEnterprise Cloudコロケーション接続オプション」(右)。両者ともSDNが使われている

 BizホスティングEnterprise Cloud上のアプリケーション領域のオプションサービスも展示されている。会場では、SalesforceにArcstar Universal OneのVPN経由でBizホスティングEnterprise Cloudから接続する「Salesforce over VPN」や、Office 365のためのアクティブディレクトリ連携サービス(ADFS)を提供する「Office 365オプション」、BizホスティングEnterprise Cloud上でERP「Microsoft Dynamics AX on Biz」をサービスする「Microsoft Dynamics AX on BizホスティングEnterprise Cloud」の紹介が並んでいる。

SalesforceにArcstar Universal One経由でBizホスティングEnterprise Cloudから接続する「Salesforce over VPN」。インターネットFAX「BizFax」で受けた注文をOCR処理してSalesforceに入力するデモ
Office 365のためのアクティブディレクトリ連携サービス(ADFS)を提供する「Office 365オプション」。オンプレミスも含めたユーザーやアクセス権限の管理ができる
BizホスティングEnterprise Cloud上でERP「Microsoft Dynamics AX on Biz」をサービスする「Microsoft Dynamics AX on BizホスティングEnterprise Cloud」。グローバルなデータセンターやオペレーションを利用でいるという

 パブリッククラウドサービス「Cloudn」のコーナーも設けられている。エンタープライズ向けのプライベートクラウドであるBizホスティングEnterprise Cloudに対して、主にWeb系の用途を想定したIaaS/PaaSサービスで、AWS互換のAPIも提供。クラウドコントローラとして、Apache CloudStackをベースとした「Citrix CloudPlatform powered by Apache CloudStack」を採用している。

パブリッククラウドサービス「Cloudn」。クラウドコントローラとしてApache CloudStackをベースとした「Citrix CloudPlatform powered by Apache CloudStack」を採用

仮想化なども取り入れていく通信関連のサービス

 通信サービスとしては、上記のBizホスティングEnterprise Cloudからも強く結びついている、グローバルなネットワークサービス「Arcstar Universal One」が展示。VPNやイーサネット専用線のほか、モバイルサービスも紹介。10月末からは、モバイル網とArcstar Universal Oneとの接続を冗長化するという。

 2014年3月開始予定として展示されていたのが「仮想ネットワークサービス(仮称)」だ。Arcstar Universal Oneのネットワーク上にオーバーレイネットワークを作る仕組みを用意し、ユーザーがWebベースのインターフェイスから必要なネットワークを自在に作れるようにするという。展示では、モバイル端末のIDを認識してネットワークに接続するところもデモしていた。

 また、トラフィックを可視化して診断し、帯域制御(左)やWAN高速化(右)を導入する「WAN最適化ソリューション(AppMaster)」についても、デモが展示されている。

グローバルなネットワークサービス「Arcstar Universal One」。VPNを中心に、イーサネット専用線やモバイルアクセスなども。10月末からモバイル網との接続を冗長化するという
Arcstar Universal Oneのネットワーク上にユーザーが自由にオーバーレイネットワークを作れる「仮想ネットワークサービス(仮称)」。2014年3月開始予定。
トラフィックを可視化して診断し、帯域制御(左)やWAN高速化(右)を導入する「WAN最適化ソリューション(AppMaster)」
帯域制御とWAN高速化の装置

 2014年3月開始予定のサービスとして、クラウド型PBX「Arcstar Smart PBX(仮称)」も展示されていた。IP-PBXをクラウド上で提供するサービスで、キャリアやデバイスを問わずに利用できるという。1つの内線番号でIP電話とスマートフォンなどを使い分ける「シングルナンバーリーチ(CNR)」などにも対応。ただし、説明によると、CNRなどの機能の対応確認のため、デバイスについては、検証済みのIP電話機や、スマートフォン向けの専用のアプリを利用することになるという。

 コミュニケーション系では、ユニファイドコミュニケーションの「Arcstar UCaaS」や、クラウド型コンタクトセンターソリューション、電話受付一元化の「ナビダイヤル」の応答メッセージ作成サービスの展示もあった。

クラウド型PBX「Arcstar Smart PBX(仮称)」。2014年3月開始予定。
Arcstar Smart PBX(仮称)での内線発信のデモ
ユニファイドコミュニケーション「Arcstar UCaaS」
クラウド型コンタクトセンターソリューション
電話受付一元化の「ナビダイヤル」。応答メッセージをWebで入力したテキストから読み上げる「オリジナルガイダンス作成サービス」をデモ

NTT Com自身の事例をまじえたロケーションフリーのワークスタイル

 今回のNTT Communications Forum 2013では、ロケーションフリーのワークスタイルに関する内容も豊富に用意されている。特に、NTT Com自身が自社ソリューションを実践したリアルな取り組みが公開され、来場者の関心を集めていた。約1.3億円のコスト削減と同時に、それまでのPC持ち出し禁止だったのを、スマートフォンやシンクライアントによるリモートアクセスで効率化したという。

 NTT Comでも使われたBYODソリューションとしては、スマートフォンからIP電話で通話することにより通話料金や発信番号を会社のものにする「050plus W-mode」「Web電話帳オプション」、端末に情報を残さないセキュアブラウザ「Bizモバイルコネクト」、仮想デスクトップサービス「BizデスクトップPro」などが紹介されている。

 また、タブレット用電子カタログや、ファイル共有サービス、Web会議などと組み合わせた「タブレットソリューション」や「どこでもオフィスソリューション」なども展示されていた。

NTT Com自身のロケーションフリーなワークスタイルへの取り組み(セミナーより)。現在、3600台の私有端末を業務に利用。約1.3億円のコスト削減のほか、それまでのPC持ち出し禁止からスマートフォンやシンクライアントによるリモートアクセスで効率化したという
NTT Com自身のロケーションフリーなワークスタイルへの取り組み(展示会場)
NTT Com自身が利用するBYOD関連ソリューション
Web電話帳。NTT ComのBYODプロモーションに登場する島耕作の名前も
仮想デスクトップサービス「BizデスクトップPro」
タブレット用電子カタログ「Biz Suite eカタログ」で、NTT Comのソリューションを説明しているところ

 そのほか、オフィス向けソリューションとして、ソーシャルメディアでの反応をリアルタイムに調べたりアクティブサポート(能動的サポート)につなげたりするソーシャルCRMソリューションや、災害時の安否確認のシステムなども展示されていた。

ソーシャルCRMソリューション。クチコミをリアルタイムに分析する「BuzzFinder」と、分析からコミュニケーション展開までをサポートする「SocialEngine」
災害時の安否確認の「Biz安否確認/一斉通報」

運用管理やライフスタイルの展示も

 そのほか、展示会場には運用管理のコーナーも設けられ、セキュリティサービスや運用管理ソリューション、NTT Comサービスの運用管理のためのサービスなどもデモされていた。

サイバー攻撃を可視化する「CyberEye/SAMURAI」。Leap Motionによるジェスチャー操作も
マネージドセキュリティサービス「WideAngle」。PCの遠隔操作を想定したデモ
グローバル運用管理サービス「Global Management One」
NTT Comの各種サービスの管理画面を1つにまとめ、契約情報や運用情報、インシデント対応などもユーザーが調べられるビジネスポータル

 また、「スマートなライフスタイル」のコーナーでは、22日に発表された“友達の友達と匿名でつながる”サービス「ConneQt」や、月定額980円からのモバイルSIM「OCNモバイルONE」、阪急阪神グループのモバイルマーケティング事例、健康管理サービス「gooからだログ」法人版、ひかりTVなども展示されていた。

高橋 正和