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【Java Day Tokyo】Java SE/EEやJavaFXなどの最新トピックを解説
(2013/5/15 06:00)
日本オラクル株式会社は14日、エンジニア向けのJavaのカンファレンスイベント「Java Day Tokyo 2013」を開催した。テーマは「Make the Future Java(Javaで未来を創ろう)」。Java EEからJava SE、JavaFX、Java Embeddedまで、最新トピックを中心に各種セッションが開かれた。
基調講演では、Java SEやJavaFX、Java EEなどについて、それぞれ最新トピックを解説。また、Javaコミュニティのリードがコミュニティの動向を紹介した。
Java 8の新機能を紹介
まず、Java SEの最新トピックについて、OracleのJavaテクノロジーアンバサダーのSimon Ritter氏が解説した。
冒頭でRitter氏は、2011年にリリースされた現行バージョンのJava SE 7を紹介。ダウンロード数の伸びや対応プラットフォームの増加などをふまえて「Java SE 6から7に切り替えていってほしい」と語った。
その上で、次期バージョンのJavaであるJava SE 8/JDK 8の新機能を解説した。言語仕様やコアライブラリ、Java VMにわたって改善がなされているという。
「言語仕様の大きな変更」として、Lambda式が紹介された。Lambda式は無名関数(値として受け渡しできる処理ブロック)の機能。Ritter氏はLambda式のメリットの一つとして、コレクションの各要素を処理する場合を例に、「for文では並行処理がなされないが、forEachメソッドとLambda式のように記述すれば並行処理ができる可能性がある」と利点を解説した。
また、インターフェイスでデフォルトのメソッド実装を定義できる機能も紹介。Ritter氏は「多重継承と言われることもあるが、多重継承よりコントロールされた形で記述できる」と説明した。
なお、JDK 8のリリースが延期されることが4月にアナウンスされている。これについてRitter氏は「後で変更することがないように、しっかりした品質のものを2014年2月にリリースする」と釈明。そして「開発者プレビュー版を試して、たくさんフィードバックしてほしい」と語った。
JavaFXの3Dグラフィックをデモ
OracleでクライアントやモバイルでのJavaプラットフォームを担当する副社長のNandini Ramani氏は、JavaFXや組み込み機器に関する最新トピックを解説した。
JavaFXはSwingに代わるGUIライブラリ。Ramani氏は、金融や流通などのエンタープライズでJavaFXが使われていると事例を紹介した。
その上で、JDK 8に含まれてリリースされる次期バージョンのJavaFX 8の新機能として、3Dグラフィックやリッチテキスト、印刷などを紹介した。
ステージでは、JavaテクノロジーアンバサダーのJim Weaver氏が実際にJavaFXの3Dグラフィックをデモした。Weaver氏はまず、navis社の貨物管理システムをデモ。貨物の配送状況やコンテナの位置などを3Dで移動しながら表示してみせた。
また、箱や円筒、球などのプリミティブな図形を表示し、テクスチャを張り付け、2つの光源を動かしてみせる例を実演した。
Weaver氏は最後にJavaFXの情報サイト「Java FX community」を紹介。JavaFX 8を含むJDK 8の早期アクセス版のダウンロードについても案内した。
続いてRamani氏は組み込み分野のJavaについても紹介した。ネットワーク接続したデバイスの数が世界の人口を上回るというデータをもとに、Internet of Thingsが新しいITの時代となっていると説明。用途として、工場の自動化や自動販売機、貨物管理、医療、スマートホームなどを挙げた。そして、「そのコントロールには、標準化されていて開発者や開発環境も豊富なJavaが適しているとOracleは考えている」とRamani氏は主張した。
組み込み向けのJavaプラットフォームとしては、PCに近いハイスペックのデバイス向けの「Java SE Embedded」、中型向けの「OJEC(Oracle Java ME Embedded Client)」、小型向けの「Java ME Embedded」、カード向けの「Java card」がある。Ramani氏はさらに、Java ME Embeddedも含まれる「Java Embedded Suite」や、そのオプションとして近くリリースされるというイベント駆動型リアルタイム処理プラットフォーム「OEP Embedded」を紹介し、「バックエンドとも緊密につながる」と説明した。
Java EE 7のHTML5サービス対応をデモ
Java EEの最新トピックは、OracleでJava EEを担当する副社長のCameron Purdy氏が紹介。次期バージョンであるJava EE 7を中心に解説した。
Java EE 7には、約30社、約200人の開発者がコントリビュートしているという。新機能としては、バッチ処理や、メッセージング、JSONのサポートなどが挙げられた。さらにPurdy氏は「特に焦点を当てたのがHTML5を使ったサービスの開発能力」として、WebSocketやServer Sent Eventなどのサポートについて紹介した。
ステージでは、JavaテクノロジーアンバサダーのArun Gupta氏が、WebSocketを使ったアプリケーションを動かすデモを見せた。Java EE 7の参照実装であるGlassFish 4.0上で、複数のWebブラウザがホワイトボードを共有して互いの描画をリアルタイムに反映するサンプルだ。メンバーが増えたときや回線が途切れたときの処理などもまじえ、サーバー側のJavaコードとクライアント側のJavaScriptコードを見せながら解説が行われた。
最後にPurdy氏は、Java EE 7が6月13日にリリースされることをアナウンスし、「当日はいろいろな取り組みが予定されている」と語った。
Javaコミュニティを紹介
基調講演の最後では、Sharat Chander氏がJavaコミュニティについて紹介。日本のコミュニティについても触れながら、さらなる参加を呼びかけた。
Chander氏は、「Oracle、技術、コミュニティの3つの要素がJavaを構成している」とし、「Javaの歴史は、みんなが参加することでもたらされた」と語った。そして、Javaの標準化機関であるJCPから、一般開発者が集まるJUG(Java User Group)までのさまざまなコミュニティを紹介した。現在、公認のJUGが世界で250グループあるという。
「最もアクティブなJUGの一つが日本にある」とのChander氏の紹介を受け、日本Javaユーザーグループ(JJUG)会長の鈴木雄介氏が登壇した。5月現在で2054名の会員が参加しているという。鈴木氏は、JJUGに参加する目的として「デベロッパーの成長の場として使っていただきたい」と説明。クロスコミュニティカンファレンス、ナイトセミナー、地方への講師派遣などの活動内容を報告し、参加を案内した。
最後にChander氏は、「ただ学ぶだけでなく、お互いにつながっていくのが大切」として、国際イベントのJavaOneの開催予定を紹介し、参加を呼びかけた。