【Interop 2011】富士通、NEC、日立電線、A10、ぷらっとホームなどがネットワーク関連製品・技術を展示
NECのOpenFlowスイッチ、富士通のIPv6関連技術など
6月8日から幕張メッセで、ネットワーク技術に関するイベント「Interop Tokyo 2011」が開かれている。展示会にはネットワークのインフラ製品をはじめさまざまな分野の約150のブースが並び、相互接続実験ネットワークShowNetも稼働している。
■富士通、IPv6対応のトンネル技術「SA64T」や密閉冷却型サーバーラックなどを展示
富士通ブースの一角では、IPv6ネットワーク上でIPv4ネットワークを利用するトンネル技術「SA64T」とその対応機器が参考出展されている。企業のネットワークをIPv6に移行したときに、既存のIPv4のみに対応したシステムを動かし続け、徐々に移行することを目的とした技術だ。
SA64Tでは、IPv6ネットワークにアプライアンスをつなぐだけで、IPv6ネットワーク上で自動的にIPv4ネットワークを構成する。IPv6アドレスはIPv4アドレスから自動的にマッピングされる。複数のプライベートネットワークが同じIPv4アドレスを使っていてもよいように、IPv4アドレスとSA64Tのプレフィックスのほか、ネットワークのIDも加えてIPv6アドレスを作る。現在、IETFにドラフトを提出中。
展示されている手のひらサイズのアプライアンス「ActiveAssist SA46T(仮称)」はまだ開発中で、SA46Tは現在のところサーバー上で動作している。アプライアンスはFreeScaleのQorIQベースで開発しているという。
IPv6ネットワーク上でIPv4ネットワークを構成する「SA64T」のアプライアンス(模型) | 現在のところ、SA64Tはサーバー上で動作している |
同じく富士通ブースでは、省スペース化と空調電力の削減を目的とした「密閉冷却型サーバラック」や、風力や太陽光などの自然エネルギーを利用したデータセンター向けハイブリッド発電システムなども展示されている。
密閉冷却型サーバラック | ハイブリッド発電システムの展示 |
■NEC、世界初のOpenFlowスイッチなど
NECブースでは、世界で最初にOpenFlow技術に対応したスイッチ「UNIVERGE PF5240」と制御装置「UNIVERGE PF6800」、およびそれを使った実証実験について展示している。
OpenFlowは、個別のスイッチではなくネットワーク全体のフローをプログラムで集中制御するための規格。柔軟なネットワーク構成や、ネットワークの可視化を実現するという。
会場では、OpenFlowを使ってネットワークを仮想面に分けたり、会場のShowNet内に作られた2つのデータセンターを結んだネットワークを構築してリソースや経路を動的に変更したりする実証実験も行っている。
フローコントローラ「UNIVERGE PF6800」(上)とフロースイッチ「UNIVERGE PF5240」(下) | ShowNetでの実証実験の説明 |
■日立電線、スケールアウトスイッチ「BFS(BoxCore Fabric System)」
日立電線ブースでは、スイッチのスケールアウトソリューションであるBFS(BoxCore Fabric System)をデモしている。
iSCSIやFCoEなど回線容量を使う接続を多数使うときに、アップリンクに通信が集中して容量が足りなくなるのを防ぐため、動的にアップリンクをスケールアウトしてマルチパスで回線容量を増やせるというもの。ボックス化することで、既存製品に比べて消費電力やコストを大幅に抑えているという。視覚的な管理インターフェイスからネットワーク状況確認しコントロールできるのも特徴という。
BFSを構成するスイッチApresia | 視覚的な管理インターフェイスから確認しコントロールできる |
BFS(左)とBoxCenter(右)の説明 |
■A10は、IPv4枯渇とIPv6移行のソリューションのサンプルを展示
A10ネットワークスのブースでは、IPv4枯渇とIPv6移行のソリューションのサンプルとして、CGN(NAT444)とDS-lite(Dual-stack lite)の2つの回線をShowNet経由で接続してデモしている。
デモの内容は、DS-liteの名前にちなんだかどうかはわからないが、それぞれの回線にWiiを接続してゲームし、大きな遅延などがないことを示すもの。DS-lite側は、IPv4 over IPv6トンネルにより接続している。
2台のWiiをそれぞれCGN(NAT444)とDS-lite(Dual-stack lite)の回線につなぎ、ShowNet経由で接続してゲームするデモ |
■日商エレ、VDIを手軽に構築できる「Kaviza VDI-in-a-box」
日商エレクトロニクスのブースでは、Citrix Xen Desktopに相当するVDI(仮想デスクトップ)環境をより手軽に構築できる「Kaviza VDI-in-a-box」を展示している。Citrix Xen Desktopでコネクションブローカーや管理インターフェイスなど複数に分かれていたコンポーネントの機能を1台のLinux仮想マシン「kMGR」にまとめることにより、構築の手間やコストを省くのが特徴。リモートデスクトップ技術にはCitrix HDXを利用。仮想マシンのハイパーバイザはXenServerとVMware ESXに対応し、Hyper-Vにも2011年内に対応予定という。
Kaviza VDI-in-a-boxの説明 | Kaviza VDI-in-a-boxのVDI環境に接続したところ。ユーザーからはCitrix Xen Desktopと同じように利用できる |
■ぷらっとホームの“らくらくアプライアンス”
ぷらっとホームのブースでは、小型サーバー「OpenBlockS」をベースにDHCP・DNS・NTP・Syslog・Proxy・監視管理などのサービスを組み込んだアプライアンス製品「EasyBlocks」などを展示。また、マスターノード不要の分散KVS型ストレージのアプライアンスサーバー「CloudStation dSS」も展示している。
小型アプライアンス製品「EasyBlocks」 | 分散KVS型ストレージのアプライアンスサーバー「CloudStation dSS」 |
■ミドクラ、仮想データセンターを構築する技術「MidoStack」
ミドクラのブースでは、ルーターやスイッチ、ロードバランサーなどの機能をサーバー群上のソフトウェアで実現し仮想データセンターを構築する技術「MidoStack」について説明している。現在のMidoStackはIaaS基盤のOpenStackと組み合わせるようになっているが、単独で動くものも開発中だという。
代表取締役CTO兼共同設立者のダン・ミハイ・ドミトリウ氏によるミニセミナー |
ベンチャーパビリオンでは、ネットワーク技術をイラストで解説するブログ「小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記」が書籍化されたディレクターズ社もブースを出している。イラストを使ったポスターやノベルティを並べつつ、展示内容としては、企業の実在性などが厳格なEV(Extended Validation)SSL取得サービスを紹介している。
ディレクターズ社のブース | EV SSLを採用しているWebサイトではタイトルバーに組織名などが表示される。写真はさらに認証情報を表示したところ |