「Windows Azureをアプライアンスで」、MicrosoftがAzure Platform Applianceを発表-富士通とも提携

Microsoft WPC 2010速報


 米Microsoftは、7月11~15日の5日間に渡り、WPC(Worldwide Partner Conference)2010を米Washington D.C.で開催中だ。クラウドへの本格的な取り組みを表明しているMicrosoftの動向を知る機会として、WPCの会場から何回かに分けてレポートをお送りしていく予定だ。

 最初は12日午前に行われた基調講演の様子をご紹介することにしていたのだが、少々予定を変更し、基調講演の中で紹介されたアプライアンス製品への取り組みについて速報としてご報告したい。

 

富士通との提携報道

 日本国内では週末に、新聞系の主要メディアが、Microsoftと富士通がAzureに関して提携したというニュースを一斉に報じたようだ。しかし、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerも出席しているWPC会場では、日本国内の報道状況が大きく取り上げられることはなく、まるで蚊帳の外という状況であった。

 とはいえ、12日午前の基調講演の中で、「富士通も参加するWindows Azure関連のパートナーシップの発表」が行われ、関係者からもこの発表内容が国内で週末に報道された内容と同一であるとの確認が得られたので、基調講演全体のレポートに先駆けて、まずは速報としてこの発表内容だけを紹介していきたい。

 

Windows Azureをアプライアンスで

Windows Azure Platform Applianceが発表された
登壇者左からMarc Silvester氏(Fujitsu)、Bob Muglia氏(Microsoft)、James Barrese氏(eBay)、Peter Altabef氏(Dell)

 発表は、CEOであるSteve Ballmer氏に続いて登壇したMicrosoftのPresident, Server and Tools Division、Bob Muglia氏が行った。

 同氏は、ユーザー企業のCIO/CTOとのディスカッションなどを通じ、「クラウドとは、サービスとしてのITの提供(IT as a Service)のことである」という理解に至ったという。そして発表したのが、“Windows Azure Platform Appliance”で「ユーザー企業やサービスプロバイダのデータセンターへの展開に対応する初のターンキー・ソリューション型のクラウド・サービス・プラットフォーム」だと説明されている。

 そして同氏は、このアプライアンスの“アーリー・アダプター”として4社を紹介した。DELL、eBay、富士通、HPの4社である。ハードウェア・ベンダー3社はアプライアンス自体の提供に取り組み、eBayはユーザーとしてアプライアンスを利用しつつブラッシュアップに協力する、という形だと思われる。

 詳細な構成等は明らかにはなっていないのだが、Muglia氏が紹介した範囲では「標準的なx86サーバーにWindows AzureとSQL Azureをプリインストールしたアプライアンス」だということだ。同氏はこのアプライアンスについて「CATVとSTB(セットトップボックス:Set Top Box)と同じモデルだ」と語った。

 標準化されたセットトップボックスを使っていたとしても、どのようなコンテンツを作成して配信するかはCATV事業者がコントロールするのと同様に、パートナーは任意のソリューションを実装/展開するためのプラットフォームとしてWindows Azureをプリインストールしたアプライアンスを利用できるというわけだ。

 HPだけは担当者が登壇しなかったのだが、3社はそれぞれ担当者が登壇し、簡単なスピーチを行った。DELLは、「Microsoftとは25年以上にわたるパートナー」だとし、Windows Azure Platformについては「革命的な変化だ」と位置づけた。

 eBayは、「クラウド時代に向けた革新的なイノベーションを探していた」中でWindows Azureに注目したと語り、まずはMicrosoftが提供するパブリック・クラウド・サービスとしてのWindows Azureでパイロット・プロジェクトを実施、これが成功したことで「Windows Azure Platform Applianceへの取り組みも決めた」と語った。なお、eBayから見たWindows Azure Platform Applianceのメリットは「スケールアウトをコントロールできる」ことだという。

 富士通についてMuglia氏は、「日本最大のパートナーであり、全世界では3位」だと紹介した。富士通の担当者は、「アプライアンスはクラウドの中心になる」「パブリック・クラウドとオンプレミスの組み合わせで新しい価値を実現していく」などと、今後のクラウドへの取り組みの方針について語った。

 なお、Windows Azure Platform Applianceは、2010年中にリリースされる予定。

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