仮想化道場
ARMプロセッサとGPUに賭けるAMD
(2014/5/23 06:00)
ARMとx86プロセッサのピン互換を実現
2015年に実現するProject SkyBridgeでは、Mullins/Beemaの次世代x86プロセッサ、次世代のARMプロセッサの両製品群間でピン互換が実現する。このため、x86でもARMでも、同じボード設計で構わないようになるという。
Project SkyBridgeの次世代x86プロセッサは、現在リリースされているMullins/Beemaで使われているのと同じPuma+アーキテクチャのコアが使用され、アーキテクチャそのものは変わらないため、性能が大幅にアップすることはないだろう。ただし、消費電力の低減などが行われるようだ。
また、Mullins/Beemaでは積み残しになっていた、CPUとGPUのプログラミングを融合させるHSA(Heterogeneous System Architecture)を搭載することになる。
これはKaveriが最初にサポートした機能で、HSAベースで開発したプログラムを使えば、開発者が明示的にCPUを使うのか、それともGPUを使うのかといったことを考えてプログラミングしなくても、コンパイラなどのソフトウェア部分が自動的に最適なコアを選択し、動作してくれるようになる。
これにより、GPUを汎用プロセッサとして利用するGPGPUにおいて大きなハードルとなっていたプログラミングの難易度を下げるので、多くのアプリケーションやOSで、GPGPUを前提としたソフトウェア開発が進むことになると見られている。
一方で、Project SkyBridgeの次世代ARMプロセッサは、Opteron A1100と同様のCortex-A57を使用しつつ、GPUコアを取り込み、やはりHSAを実現することになる。
2015年にリリースされるProject SkyBridgeでは、サーバー用途も考えられてはいるが、どちらかといえばモバイルや組み込み向けというイメージだ。
AMDでは、Project SkyBridge対応のプロセッサが、2015年の段階で本格的にサーバー分野に入っていく、とは考えていないのかもしれない。
このあたりは、Opteron A1100などのサーバー向けARMプロセッサが実際にリリースされ、64ビットARMプロセッサ対応のOSやミドルウェア、アプリケーションがどれだけそろってくるかにかかっているだろう。
一方で、Project SkyBridge対応のARMプロセッサにはGPUが搭載されるため、サーバー分野でARMプロセッサの利用が広がれば、サーバー分野でもGPGPUの利用が始まる可能性がある。
なお、APU化したARMプロセッサは、ネットワーク関連の組み込みプロセッサとしては、高い性能を持つかもしれない。GPUは並列処理性能が高いため、ネットワークを流れるデータパケットを高速に処理できる可能性があるからだ。こういった性能が認められれば、ファイアウォールやL3スイッチなど、専用チップを使って処理しているネットワーク機器で、APU採用が加速するかもしれない。