大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ
Windows XPの移行支援施策が最終段階に入る理由 (パートナーが下支えした移行支援)
リスク訴求は継続も今後はSever 2003の移行施策へ
(2014/7/4 06:00)
6月まで続いているXP特需
PCの販売状況は、消費増税前の駆け込み需要が終了した4月以降も好調で、6月上旬まで前年実績を上回る状態が続いている。
一般社団法人電子情報技術産業協会が発表した2014年5月の国内PC出荷実績は、前年同月比23.2%増の87万5000台となり、8カ月連続で前年実績を上回った。
ここまでは、Windows XP特需が続いたといえそうだ。また、6月中旬以降は、前年同期に、日本マイクロソフトをはじめとする主要各社が各種の販売キャンペーンを実施したこともあり、販売実績が上昇。「前年の分母が大きいため、これまでのような大きな伸びはないが、法人需要は前年実績を上回る形で推移している。想像以上に販売数量の落ち込みはない」とする。
法人ユーザーにおいては、Windows XPからの移行は、Windows 7がほとんどだと見られており、デスクトップPCでは約9割がWindows 7、ノートPCでも約8割がWindows 7環境に移行しているようだ。
「タッチ機能を非搭載のデスクトップPCは、ほとんどがWindows 7での利用だろう。Windows 8の利用はタブレットなどを活用した、新たなワークスタイル提案のなかで活用されている。今後は、PCとタブレットといったような複数台数の利用が増加したり、デスクトップPCは共用とし、タブレットを一人一人が所有するといったように、トータルとしては社員数よりも多いデバイス数が利用されることを期待している」としている。
一方で、Windows XPから、MacやiPad、Androidタブレットなどへの移行については、「当初は、ある程度、ほかのプラットフォームに流れることも覚悟した」(高橋執行役)としながらも、「結果としては、Windowsへの移行が多かった」とする。
日本マイクロソフトの西野シニアマネージャーは、「開発環境や業務アプリケーションといった資産を継承したいというニーズが高いほか、利用者や開発者の新たなトレーニングを行わないで済むという点でメリットを感じてもらえた。トータルコストとして考えた場合、Windows環境にそのまま移行した方がいいと判断したようだ」という。
パートナーが下支えした移行支援
Windows XPからの移行に際しては、パートナーが積極的な移行施策を展開。4月以降もそれを継続した点が見逃せない。
日本マイクロソフトによると、現時点でも約60社から、約100にのぼる移行施策を用意。4月以降には、一部メーカーが一度終了したWindows XP搭載PCの下取りキャンペーンを再開するなど、「一度、新たな環境へ移行する流れが鈍化したものの、パートナー各社やOEMベンダーの継続的な移行施策の取り組みは、再度、移行の流れを活性化する起爆剤になった」という。
日本マイクロソフトでも、4月末で終了したOffice 365への乗り換えキャンペーンを6月30日まで延長。Windows XPと同じく4月9日で終了したOffice 2003からの乗り換え促進にも貢献しているという。
「4月に入ってからは、ハードウェアの移行とともに、1人1台のOffice環境を実現するための投資ができないという法人ユーザーに対して、Office 365を導入することで初期投資費用を低く抑えることができるという提案に関心が集まっている。携帯電話と同じように月額課金で運用できるクラウドサービスの良さが伝っている」とする。
また、Azureを活用して業務アプリケーションを移管といった動きも見られ、「マイクロソフトのクラウドサービスを活用することで、互換性や接続性といった面での安心感や、運用面におけるメリットを享受している法人ユーザーが増えている」という。
さらにOffice 365を再販するパートナーが、それぞれのサービスを付加させた製品提供を開始。こうした取り組みもWindows XPからの移行を下支えしたという。