マイクロソフト研究所

クラウドのインテリジェンスでクライアントへ革新を

 クラウドをコアビジネスにしようとしているMicrosoftは、クライアントOSであるWindows 10においても、クラウドのインテリジェンスを利用する方向に向かっている。

 本稿では、Windows 10の進化の方向について解説していく。

次の大型アップデート「Fall Creators Update」

 4月に提供を開始したWindows 10 Creators Updateの次のアップデートとして、秋にWindows 10 Fall Creators Updateがリリースされることが発表されている。

Windows 10では、秋にFall Creators Updateが提供される

 Windows 10のリリース時には、年間2~3回のアップデートを予定しているとしていたが、企業ユーザーやコンシューマユーザーからフィードバックを受けて、年2回、春と秋のアップデートにすると決めた。

 アップデートのスケジュールを発表したのは、いつアップデートされるかが分からないと、企業ユーザーが年間スケジュールを立てられないということからだ。

 ただし、WebブラウザのMicrosoft Edgeに関しては、Windows Store経由で、さらに高い頻度でのアップデートを計画しているようだ。Google ChromeやFirefoxなどと比べても、まだまだ機能が十分とは言えないEdgeが年2回しかアップデートされないということでは、Internet Explorer(IE)のようにブラウザとしてマイナーになってしまう。

 このため、OSとは切り離してWindows Storeからのアップデートとすることで、更新の頻度をさらに上げ、ChromeやFirefox以上のアップデート頻度と機能を目指していくようだ。

 なお、Edgeのアップデートの高頻度化は、Fall Creators Updateで基本的なインフラを整えてから、Edge自体の機能アップに取りかかるという状況だろう。そのため実際には、Fall Creators Update後か、2018年のSpring Update後にアップデートが高頻度化されるようだ。

 また、春のCreators Updateで積み残しになっていた、コンテナ環境で仮想化されたEdgeが、Fall Creators Updateではサポートされる。ウイルスに感染させようとする悪質なWebサイトをEdgeで閲覧し、ウイルスがダウンロードされてしまっても、Edgeの動作を終了すれば動作環境ごと削除してしまうため、ウイルス感染をEdge環境だけで封じ込められ、システムへの侵入を防ぐことができる。もちろん、Edgeを終了して動作環境が削除されれば、Edge環境内のウイルスも一緒に削除される。

クラウドを使ったインテリジェンス(AI)をアプリに

 Fall Creators Updateでは、さまざまな機能がアップデートされている。

 まず、Windows 10の新しいUIデザインのFluent Design Systemが発表された。Fluent Designでは、Light/Depth/Motion/Material/Scaleという5つ要素を使ってUIが構築されている。

 これは、現在のWindows 10のUIを根本的に書き換えるというよりも、Windows 8から持ち越しているMetroデザインをFluent Designというデザイン言語で整理して、より洗練した形に整理していくというものだ。Fluent Design Systemが実現すれば、アプリが利用するUIにも使われていくだろう。

Fall Creators Updateでは、新しいデザインのFluent Design Systemが採用される。これがUIの基本的な考え方となるようだ

 Build 2017でFall Creators Updateのすべての機能が発表されたわけではないが、そこで示された大きなテーマとしては、クラウドを使ったインテリジェント化とマルチデバイスにわたるユーザー体験の2つがある。

 Build 2017でデモされた、Fall Creators Updateに標準添付されているStory Remixは、AzureのCognitive機能を使って、今までではできなかったことを実現している。

 これは、以前のWindows OSに標準添付されていたWindows Live Movie Makerの進化形といえるもので、簡単に言ってしまうと、「ユーザーが撮影した写真やビデオを使って特定のストーリーのあるビデオを仕上げてくれる」というものだ。

 今までであれば、ユーザー自身が写真やビデオを編集して、1本のビデオに仕上げ、タイトルやキャプションを入れたり、音楽を入れたりする必要があるが、これだけの作業をするのは時間もかかるし、さまざまな素材(CGや音楽)を用意する必要がある。また使い勝手の上でも、ビデオ編集ソフトは、個人ユーザーが簡単に使えるものではなかった。

 これに対してStory Remixでは、特定の人物を指定すれば、その人物にかかわる写真や映像を探し出してきて、素材としてStory Remixに取り込んでくれる。ユーザーはタイムラインに従ってそれを配置すればよく、音楽も、どのようなイメージの音楽が使いたいのかを指定すると、時間枠にマッチする音楽をAIが用意してくれる。また、多少の長さ調整はAI側で行ってくれるようだ。

Story Remixでは、Grooveから各シーンにマッチした音楽を自動的に選択することができる

 デモでは、女性の草サッカーの様子を編集していた。自分の子どもにキャプションを付けようとする場合、AzureのCognitiveサービスと連携し、ビデオの時間が進んでも人物を認識し続けるので、自動的にキャプションを付け続けることができる。

 またシュートシーンでは、ボールを指定してCGを付け加えることも可能で、例えばボールに炎を付けて、火の玉シュートを合成することもできる。Paint 3Dなどに追加されたライブラリ機能から炎を選択して最初のシーンに合成すれば、後はシュートが決まるまで自動的に合成し続けてくれる。さらに、シュートがゴールに入ったシーンでは爆発シーンを合成する、といったこともできる。

ビデオ中の物体を認識して、CGと置き換えることもできる。1コマ1コマ合成するのではなく、最初に物体を指定すれば、自動的に物体の移動に追従してCGを変更してくれるので、とても楽だ。これも、AzureのCognitive機能を利用している

 今までは、クライアントPCのパワーを使ってビデオ編集やCG合成を行っていたが、クラウドと連携し、AzureのIntelligent機能を利用すれば、PCだけで動作しているアプリケーションでは実現できなかったような機能も実現できる。

 Microsoftとしては、Story Remixで利益を出そうとは考えていないのだろう(実際、Fall Creators Updateには標準添付される)。Story Remixのように、AzureのIntelligent機能をアプリケーション側に取り込むことで、アプリケーションの革新が起こると思っているようだ。ある意味Story Remixは、アプリケーションベンダーへの1つの指針といえる。

 Story Remixのように、AzureのIntelligent機能やCognitive機能を使って、革新的なアプリケーションをサードパーティが開発すれば、Windows 10というクライアントOSの魅力を高めることができるし、Azureが利用されることでMicrosoftにとっても利益が出る。

 個人的には、Story RemixなどのアプリケーションのコードがGitHubなどで公開されれば、AzureのIntelligent機能やCognitive機能がどのように利用されているのかがわかり、開発者にとって参考になると思う。

中断していたアプリを簡単に再開できるTimeLine

 クライアントにおいてのもう一つのテーマは、マルチデバイス間のユーザー体験だ。

 その目玉として、Fall Creators Updateでは「TimeLine」機能が用意されるとしていたが、残念ながらリリースが延期になってしまった。Microsoftでは、Fall Creators Update後に提供すると表明している。たぶん、2018年Spring Updateになるのだろう(Fall Creators Update後にリリースされるInsider Previewには搭載されるようだ)。

 昨年の発表会でアナウンスされたMy People機能は、Creators Updateに搭載される予定だったが、間に合わず結局Fall Creators Updateに順延された。年2回のアップデートでは、当初アナウンスされていた機能でもこのように開発が間に合わず、先送りになることもままある。

 さて、あらためてTimeLineを説明しよう。

 これは、アプリケーションの状態を記録しておくことで、アプリケーションを終了したとしても、簡単に以前の状態に戻せるようにしようというものだ。例えば、PowerPointであるプレゼンテーションを編集していて、作業を終了しても、TimeLineから前日利用していたアプリケーションを選択すれば、編集中のファイルを自動的にロードし、作業を終了した時の状態から再開できる。前日の情報を記録しているだけでなく、数カ月前の情報も保存しているようだ。

TimeLineでは、アプリケーションの動作状況をログとして記憶しているため、TimeLineの操作画面を表示すれば、今までに使用したアプリケーションがリスト表示される。ユーザーがこのリストをクリックすれば、アプリケーションとデータをロードし、途中の操作状況に戻してくれる

 これだけだとそれほど目新しい機能には思えないが、TimeLineの面白いところは、デバイス間をまたいで記録情報をやりとりする点だ。PCのPowerPointであるファイルを作業し、外出中にiPhoneからPowerPointを開くと、PCで作業途中の状態から続けて作業できるようになる。

 TimeLineの機能は、アプリケーションの状態を記録するMicrosoft Graphの機能を使用しているため、残念ながら、すべてのアプリケーションで使えるというわけではなさそうだ。また、デバイス間をまたいで使うためには、アプリケーションがマルチOSに対応している必要があるだろう。

TimeLineの面白い部分は、PCで中断した作業をモバイルで継続できる点だ

 また、Microsoft Graphの機能を利用してマルチデバイス間でのコピー&ペーストを実現する「Cloud-Powered Clipboard」も用意される予定だったが、こちらも延期されてしまった。

 この機能を使えば、PCのメールで受け取った住所を再度スマートフォンにメールしなくても、Cloud-Powered Clipboardを経由して、スマートフォーンのGoogle Mapに張り付け、簡単に行き先を確認することができる。実現すれば便利な機能だっただけに、残念な延期といえる。

 Cloud-Powered Clipboardは、Microsoft GraphやOneDriveなど、Microsoftが提供しているクラウドの機能を基盤としている。ただClipboard機能に限定しているため、iOSやAndroid上のアプリ側がCloud-Powered Clipboardに対応してないと使えない、ということはないようだ(ただし、各OSにCortanaやOneDriveのアプリをインストールすることが必要になりそうだ)。

iPhoneのGoogle MapにPCで検索して、コピーした住所をペーストできる。これなら、メールで住所をiPhoneに送ることもなくなる

 なお開発優先度としては、OneDriveにおけるオフラインでのファイル同期(ローカルPCに指定したフォルダー/ファイルをコピーしておく機能。この機能はFall Creators Updateに間に合う)、Timeline、Cloud-Powered Clipboardとなる。このため、Cloud-Powered Clipboardは、Insider Previewでも年内にインプリメントされるかどうかというスケジュールだろう。

 またOneDriveに関しては、ファイルのバージョン履歴機能が追加される。この機能を使えば、上書きしてなくなってしまった古いバージョンのファイルも、簡単に戻せるようになる。

 ちなみに、TimeLineやCloud-Powered Clipboardなどの機能は、Build 2016で発表されたProject Romeがベースになっている。Project Romeは、マルチデバイスでアプリの状態をやりとりするためのインフラだ。

 Microsoftでは、Fall Creators UpdateにProject Romeを内包し、今後はiOSやAndroid向けに提供しているMicrosoftアプリをProject Romeに対応させていく予定だったが、時期的に間に合わなかったため、すべての機能が使えるまではもう少しかかりそうだ。なお、Project RomeのiOS版、Android版などのコードは、GitHubで公開されている。

TimeLineやCloud-Powered Clipboardは、Build2016で発表されたProject Romeがベースとなっている。現在、Windows 10、iOS、Android、MS Graph REST APIなどのSDKが公開されている。
低調なMicrosoft Storeをテコ入れするため、AppleのiTunes、Spotify、SAPのDigital Boardroom、AutoDesk SketchbookなどがStoreから配信される。すべてのアプリがUWPとして開発されているわけではなく、Desktop Converterを使ってWin32アプリケーションをStoreで配布できるように変換したモノも含まれている

 このほか、Fall Creators Updateでは、Windows 10に搭載されていたいくつかのアプリケーションが、廃止もしくはバンドル中止になる。

 まず、3D BuilderとPaintはバンドル中止になり、新たにバンドルされるPaint 3Dを利用することが推奨される。ただし旧来のアプリを使いたいユーザーのために、Store上には3D BuilderとPaintアプリが用意される。必要なユーザーは、Storeからダウンロードすればいい。

 一方で廃止されるアプリは、Outlook Express、System Image Backup、PowerShell 2.0(5.0以降の利用を推奨)、ReaderアプリとReading List(Edgeに統合)、Enhanced Mitigation Experience Toolkit(EMET:Windows Defender Exploit GuardのExploit Protectionの利用を推奨)といったものだ。

 なおFall Creators Updateは、8月にバグの修正、パフォーマンス調整のフェーズに入っており、9月のリリースを目指して、開発は最後の追い込みに入っている。以前のアップデートに比べると、8月に入ってからも比較的ビルドの提供が落ち着いていることから、9月の早い時期に提供が開始される可能が高い。大きなトラブルがなければ、9月上旬にリリースされるだろう。

 また、Windows 10のアップデートの提供日に関しては、今まで、月例Windows Updateとは異なるスケジュールで行われているため、今回も第2水曜日とは異なる日に提供されると思われる。

MR関連での進展

 Build 2017では、Windows Mixed Reality(MR)関係でも大きな発表があった。昨年からアナウンスされていた、AcerやHPのWindows MR対応のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が正式にリリースされた。価格は、Acerが299ドル、HPが329ドルとなっている(日本では税込価格で、4万円、5万3784円)。

 今回発表されたWindows MRのHMDは、Microsoft HoloLensのようにHMDにCPUやバッテリを搭載した製品ではなく、PCに接続する周辺機器だ。またHoloLensのように、レンズを通して現実空間にVRオブジェクトがミックスされるMRではなく、通常のVR用HMDとなる。ただしセンサーは内蔵しており、現実空間の認識をある程度行っている(現実の家具を認識したり、オブジェクトを認識したりしているわけではない)。

 なお、今回発売されたWindows MR対応HMDは、まだ開発者向けということで、PC側の要求スペックは非常に高い(CPU Corei7/Ryzen7 1700、GPU GeForce GTX980/1060、Radeon RX480以上)。Microsoftは、秋までにはIntelと協力してCoreプロセッサのGPUで動作できるようにするとしている。

 またBuild 2017では、Windows MRで使えるヘッドセット用コントローラ、Motion Control for Windows MRが発表された(価格99ドル、年末までにリリース予定)。Motion Control for Windows MRは、Microsoftが仕様をオープンにして、各PCメーカーが製造することになる。共通規格のため、どのメーカーの製品でも利用可能。HMDと同じメーカーの製品を対でそろえる必要はない。

AcerのHMDとMotion Control for Windows MR。AcerのHMDは日本国内で発売されたが、すぐに売り切れた。ただし現状では、AcerやHPなどのHMDは開発キットという扱い。一般コンシューマが利用できるようになるのは2018年以降だろう

 なおWindows MRに関しては、今年は第一歩を踏み出したにすぎない。秋以降、あるいは2018年に、さまざまなゲームやアプリケーションがリリースされてくるだろう。

 その過程において、PCの周辺機器としてのHMDではなく、HMDにプロセッサやバッテリを内蔵したHoloLens形式の製品も発売されるだろう。また、現在のWindows MRのHMDもレンズ形式や外部カメラを使って、HoloLensと同じAR機能が実現してくると思われる。

 ただ現状では、HoloLens専用チップのHolographic Processing Unit(HPU)が外販されていないため、PCベンダーが独自開発するか、MicrosoftがHPUの仕様を公開するか、外販されるといったことがないと、スタンドアロンで動作するサードパーティ製HoloLensは発売されないかもしれない。

 ビジネスで本格的に利用するには、もう少し時間がかかるが、VR/MRの新たなビジネス領域を切り開くことを考えれば、どのようなことができるのか開発環境をそろえておくべきだろう。このあたりは、新しいビジネスを切り開くためのツールとしては最適だ。

 今後Microsoftは、2017年にリリースを計画していた新型HoloLensをスキップし、2019年にHoloLens v2をリリースすることにしている。

 HoloLens v2には、AIコプロセッサの機能が入ったHPU2.0が搭載されるという。これによって、より詳細な空間スキャニングが可能になり、空間内部にあるオブジェクトの3Dモデリングができるようになる。また、視線操作やジェスチャーによる操作などが可能になると言われている。

ARM版Windows 10の進展

 なお、Build 2017の基調講演では紹介されなかったが、Build 2017の事前録画セッションでは、Fall Creators Updateがリリースされるタイミングでリリースが予定されているARM版Windows 10に関して、ある程度の情報が解説されている。

 ARM版Windows 10は、Windows 10 Mobileなどとは異なり、フルスペックのWindows 10をARMプロセッサ用にインプリメントしたモノだ。大きな特徴としては、x86/x64コードのエミュレーション機能を有している。これにより、既存のデスクトップアプリケーションをARM版Windows 10で動作させることができる。

 もともと今のWindows OSには、32ビットのx86プログラムを64ビット環境で動かすための、Windows On Windows(WOW)というエミュレーション層が用意されている。

 ARM版Windows 10では、WOWを拡張してx86のWin32プログラムをARMに変換するエミュレーション層が用意された。このエミュレーション層では毎回コード変換を行うのではなく、一度コード変換を行うとARMに変換したプログラムをストレージにキャッシュするため、二度目の動作からは一度目よりも高速に動作する。

 事前録画セッションでは、Amazonなどで新規に購入したUSBカメラをARM版Windows 10に接続すると、ドライバを自動的にインストールして動作させる、といったデモを行っていた。デモを見た限りでは、パフォーマンスに関しては、通常のOfficeアプリケーションを動かしている映像を見たところ問題なさそうだ。

 なお、ARM版Windows 10をスマートフォン向けに出すのか、タブレットやノートPC向けに出すのかを、Microsoftは言明していない。ARM版Windows 10というOSがパッケージ版でリリースされるのかも不明だ。

 現状では、動作するプロセッサとしてQualcommのSnapdragon 835が対象となっているため、デスクトップPCではなく、ミッドレンジのノートPCやタブレットがターゲットになっていると思われる。

 正確なところは、秋になって実際にARM版Windows 10がリリースされるのを待つしかないが、6月に台湾で開催されたComputexでは、HP、ASUS、LenovoなどからARM版Windows 10を搭載した製品が発売されるとアナウンスされたことから、まずはノートPCとしてリリースされる可能性が高そうだ。

 Snapdrago835はスマートフォンに使われている製品のため、さまざまセンサー、カメラ、LTEモジュールなどが入っている。外付けのチップが多いIntelプロセッサに比べると、省電力性の高いノートPCが設計できるだろう。

 Snapdrago835はハイエンドのスマートフォンに使われているSoCのため、コストが高額だ。このため、ARM版Windows 10は、2in1ノートPC/タブレットなどにプリインストールされるだろう。

 Nokiaから買収したスマートフォンのラインアップをMicrosoftが整理したこともあり、スマートフォンの対応は不透明だ。ARM版Windows 10に対応するとしても2018年以降になるだろうが、画面サイズから考えると対応しないのではないかと筆者は予想している(個人的には、Microsoft自体がスマートフォン市場をあきらめたように感じてもいる)。

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 Build 2017やde:codeを見て感じたのは、Microsoftがクラウドをコアにおき、クラウドで利益を上げる企業へと変ぼうしていることだ。クラウドに関しても、単なる仮想サーバーとしてのIaaS、プラットフォームだけを提供するPaaS、アプリケーションサービスを提供するSaaSではなく、さまざまなIntelligent機能やCognitive機能を追加したクラウドサービスを提供する企業へと進化しようとしている。SaaSのOffice 365やDynamics 365なども、APIを使ってAzure上に構築した自社サービスと連携できるようにしている。

 次の段階としては、日々進化するIntelligent機能やCognitive機能をAzureで提供し、どれだけ開発者のニーズにマッチするサービスを提供できるか、さらに開発者が積極的にAzureのIntelligent機能やCognitive機能をアプリケーションやサービスで採用してくれるのか、といったことが重要になってくる。

 すでに、クライアント向けOSが単体で進化するような時代ではなくなった、ということなのだろう。