大河原克行のキーマンウォッチ

「Integrated IT Company」の意味を郡信一郎社長に聞く

「技術」を語り始めたデルが目指す新たなフェーズとは?

 米Dellが2014年11月に、米国テキサス州オースティンで開催したプライベートイベント「Dell World 2014」において、マイケル・デル会長兼CEOは、「Integrated IT Company」という新たなメッセージを発信した。

 この言葉は、Dellが新たなフェーズへとシフトし始めていることを示したものであり、ここ数年、ハードウェアベンダーから、ソリューションプロバイダーへのシフトを打ち出してきたDellが、その歩みをさらに進化させる姿勢を込めたものだともいえよう。Dellは次にどこに向かおうとしているのか。そして、新たなメッセージのもと、日本法人はどんな進化を遂げようとしているのか。デル株式会社の郡信一郎社長に話を聞いた。

Integrated IT Companyはこれまでの延長線上にある

――2014年11月に開催した「Dell World 2014」で、デル会長兼CEOは、「Integrated IT Company」というキーワードを打ち出しました。これは、これまでDellが目指してきた「ソリューションプロバイダー」のメッセージとは、どこが違うのでしょうか。

デルの郡信一郎社長

 ご指摘のように、Dellはここ数年、「ソリューションプロバイダー」への進化を目指してきました。今回新たに打ち出した「Integrated IT Company」というメッセージは、その方向性の延長線上にあるものだととらえることができます。「Integrated IT Company」という新たなメッセージが発信されても、Dellの戦略や方向性は変わりません。そして、Dellが特徴を持った有意義なソリューションを提供していく姿勢も変わりません。

 私は、この言葉を聞いた時に、かなりしっくりきたんです。「ソリューションプロバイダー」という言葉には、Dellが、ハードウェアベンダーから変革をしていくんだという新たな方向性を打ち出す上では、非常にわかりやすいメッセージであったといえます。しかし、ソリューションプロバイダーへの成長過程のなかで、Dellがどんな特徴を打ち出せるのかという点では、伝え切れていない部分があったといえます。今後のDellの特徴はなにか。それを、Integrated IT Companyという言葉に込めたといえます。

――では、「Integrated」という言葉はどうとらえたらいいでしょうか。それは製品のことを指すのか、それとも組織を指すのか。あるいは姿勢や方針を指すのでしょうか。

 ひとつは、製品の観点からのIntegratedがあります。例えば、Dell PowerEdge FXは、まさにひとつに筐体のなかにあらゆる機能が入っているという意味で、Integratedしたものだといえます。ただ、この形容詞は、特定の製品を指して表現するものではありません。

 Dellはここ数年で、30社以上の企業を買収していますが、その多くがソフトウェア関連の企業であり、それらの組織を統合し、製品を組み込むことで、オープンであり、スケーラブルであり、それでいて特徴のある製品や技術を市場投入できるようになった。これも、現在、未来において取り組むIntegratedのひとつだといえます。

 その点では、製品、技術、組織がIntegratedしたといえます。さらに、さまざまなISV(独立系ソフトウェアベンダー)との連携も、Integratedという観点からの取り組みのひとつとなります。

(大河原 克行)