大河原克行のキーマンウォッチ

「New BlueとMore Blueの獲得でさらなる成長を」~日本IBMマーティン・イェッター社長 (「New Blue」と「More Blue」)

「New Blue」と「More Blue」

――最近、イェッター社長は社内に向けて、「New Blue」という言葉を使っているようですね。また、「More Blue」という言葉も使っていると聞きました。これはどんな意味ですか。

 これは社員に向けてわかりやすく説明するために使い始めた言葉です。「New Blue」+「More Blue」=「成長」というわけです。

 では、New Blueとはなにか、More Blueとはなにか。New Blueとは、まだ日本IBMが入り切れていない領域を指します。先ほど触れたように、これまで活動してこなかったゲーム業界や医療分野などの新規顧客領域などがこれに当たります。つまり、ホワイトスペースの開拓がNew Blueということになります。

 もうひとつのMore Blueとは、すでに日本IBMとのつながりはあるが、さらにそのつながりを強化し、ビジネスを拡大させるというものになります。CAMSもひとつの切り口になりますね。このように、IBMの製品およびサービスポートフォリオ全体を活用することで、New BlueとMore Blueを獲得して、日本IBMの成長につなげていく、ということを考えているわけです。

――New BlueとMore Blueには具体的な指標はあるのですか。

 売り上げをどれぐらい増やしたいか、受注をどれぐらい増やしたいか、シェアをどれだけ増やしたいかという具体的な目標はあります。その目標値は、市場全体よりも高い成長率で成長することを目指すものになっています。

日本IBMがクラウド分野で持つ3つの強み

――ところで、日本IBMのクラウドの強みはどこにあるのでしょうか。

 ひとつめには、クラウドのポートフォリオの広さです。米国においても、この広さは業界ナンバーワンと評価されています。そして、クラウドに対する柔軟性がある。顧客がクラウドに移行したいと考えた場合に、われわれはプライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドといったように、どんなクラウド環境でもお手伝いすることができる。

 2つめには、IBMのクラウドはグローバルなものであるという点です。世界中にクラウドデータセンターを持ち合わせており、多くの拠点を活用した運用が可能になる。SoftLayerについても、グローバルなデータセンターの開設を含めてわれわれは積極的な投資を行い、ユーザーにとって最適な環境を実現しようと考えています。

 そして、3つめには、われわれ独自のデータネットワークを持っているという点です。これによって、高いセキュリティ機能を最初から組み込み、それを提供することができる。

 さらにIBMには、全世界2万1000社の顧客を持ち、それに対応してきた実績もあります。事業部門や研究開発、ハイパフォーマンスコンピューティング領域にもクラウドで対応できます。つまり、どんなクラウド上の課題に対しても、われわれは正しい回答を提案できるわけです。

 このように、拡張性、柔軟性、安全性を持ったクラウドサービスを提供できるという点が特徴だといえます。

(大河原 克行)