企業システムの根幹を支えるデータマネジメント
PART01 データマネジメント最新事情
■読者調査で浮かび上がった企業のデータ品質と管理状況
ヒト・モノ・カネと並ぶ重要な資産だと言われ続けてきたデータ。日々発生してシステムに蓄積されていくデータの価値を、企業は十分に引き出しているだろうか。本誌の独自調査などを通して浮かび上がってきた「データマネジメント」の最新事情を紹介する。データ品質を高めたいという要望と、それを実現しようとする機運がにわかに高まっている。
■データ品質への不満が爆発~10%が致命的な事態を経験
ITユーザーの半数以上がデータの品質に不満を持っている─。本誌が2010年9月10日から10月1日にWebで実施した読者調査から、こんな実状が浮かび上がってきた。データマネジメントの現況を象徴する結果を、次ページに一覧する。
ITユーザーが不満を抱く最大の理由は「必要なデータが見つからない」こと。「その他」とした回答者からは、「データが散在している」「データ管理に必要なルールや概念が存在せず共有できない」という声も寄せられた。
ここで注目したいのは、調査結果に示したグラフCである。データ品質に起因して業務に支障が出た経験を聞いたところ、致命的や軽微なトラブルを経験した回答者が34.5%に上ることが分かった。報道で明るみに出ないだけで、企業内ではシステムのデータ品質を原因とするトラブルが多発していたことがうかがえる。
■ユーザーからの強い要望も~予算確保やROIの明示が壁に
データマネジメントとは、データの品質を高め、それを維持する一連の取り組みである。具体的には、異なる業務/システムで使うデータの関係性や整合性、業務処理に伴って発生するデータの品質などを管理すること。データモデリングやデータクレンジング、マスターデータ管理、メタデータ管理といったデータの設計からシステムへの実装、運用、保守を包含する。
データマネジメントに対するITユーザーの要望は根強い。読者調査では回答者の80%以上がデータ品質の改善の必要性を感じている。
それにもかかわらずデータマネジメントの取り組みはこれまで、特別に目立った動きとして表面化してこなかった。背景には「データマネジメントだけでは予算を確保しにくい」「実際の取り組みを主導する部門を決めにくい」「ビジネス面でのメリット/利益の明示が難しい」という課題がある。