Infostand海外ITトピックス

製造業を熟知したメーカーのデジタル戦略は ドイツBoschのIoT向けクラウド

デジタル化に向けソフトウェアとサービスに投資

 「Bosch IoT Cloudは、われわれのソフトウェア専門知識を完成させる最後のパーツになる」とBoschのCEO、Volkmer Denner氏は述べている。実は同社はデジタル化に向けて少しずつ対策を進めてきた。

 IoT Cloudの土台となるのはPaaSの「Bosch IoT Suite」だ。2015年に買収したスマートデバイス用ソフトとミドルウェアの開発専門のProSystの技術を基盤としており、IoTのアプリケーションを開発できるソフトウェアパッケージとなる。

 Bosch IoT Suiteは、デバイス関連のやりとりのハブとなる「Bosch IT Hub」、ネットワーク接続、設定、モニタリングなどの管理を行う「Bosch IoT Remote Manager」、サードパーティのサービスとの統合のための「Bosch IoT Integrations」、分析モデルを提供する「Bosch IoT Analytics」などのサービスを含む。

 開発者は、これらを利用してクラウドベースのIoTアプリケーションやサービスを構築、実装、運用できるという。インターネットに対応するデバイスのID、サービスやアプリケーションによるデータ交換などが可能となるほか、独自のポリシーを設定することも可能という。

 すでに500万台以上のデバイスがIoT Suiteを利用して接続されているという。News Factorによると、Boschはすでに、スマートホームの「Smart Home System」や、暖房システムで遠隔から技術者が問題を解決するなどのサービスを提供しているという。

 製造業のBoschはソフトウェアやサービス分野を強化しており、Wall Street JournalによるとIoT分野で3000人のソフトウェア開発者を擁する。さらにIoTを含む新技術に、年間5億ユーロ(約5億4800万ドル)を投じているという。

 News FactorはBoschのこの動きについて、「基本的にはGE(General Electric)やSchneider Electricのように、インダストリーにフォーカスし、ソフトウェアとIT企業よりも製造業のIoTのニーズの潜在性を理解している企業を目指している」とまとめる。

(岡田陽子=Infostand)