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モノづくりを加速 5ドルのRaspberry Pi「Zero」

多彩なプロジェクト

 Raspberry Piの魅力は、ネットワークに接続可能で、Linux(とその資産)が動作し、汎用I/Oから電子部品をコントロールできるところにある。RasPiをコントローラとして、周辺機器、サーボモーター、センサーなどを動作させ、さまざまなデバイスを手作りできるのだ。

 プログラムを学ぶ学生が手軽に使えるコンピューターとして考案されたRaspberry Piは、2012年2月の発売から、予想しなかった大ヒットとなり、大きな支持を獲得。コミュニティもできあがり、3年で世界の販売数が500万台を突破した。RasPiを使ったデバイス開発(プロジェクト)は膨大な数になっている。

 IT PROは、最近の話題のプロジェクト19選を紹介している。これが実に多彩で、手作りながら実用的なものも少なくない。例えば、10インチのタッチディスプレイを取り付けた自作タブレット、SpotifyやSoundCloudなどのクラウド音楽サービスに対応する音楽ストリームの子機、テレビに接続してHuluやNetflixを視聴できるホームメイド・メディアセンター、余ったディスプレイを利用したピクチャーフレーム、Googleカレンダーを表示する壁掛け自動カレンダー、猫用給餌器――などなど。

 凝ったものでは、音声認識で湯を沸かす「お茶入れ器」、顔認識によってカギを解除する宝箱、野菜をたたくと電子音が出るデジタルドラムマシン、3分の1スケールの小さなMacintosh(Linux上のエミュレーターでSystem 6が動作する)、音声命令を聞いて動く「R2-D2」。さらには、発信元を秘匿できるTorルータ、大量のビデオのリッピングを自動でするためのDVDディスクチェンジャーといった力作が並んでいる。

 RasPiは趣味のレベルにとどまらない。数十台をクラスタリングしてスパコンにしてしまうユーザーもいれば、気象観測気球のセンサー・記録デバイスにしてしまうユーザーもいる。ちょうど12月5日には、英国の学生たちが書いたプログラムを積んだRasPi「Astro Pi」が宇宙での実験ミッションのため、ISS(国際宇宙ステーション)へ向かった。

(行宮翔太=Infostand)