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IBMが企業向けMac導入サービス開始 社内でもMac実装進める

企業ITが変わった

 ComputerworldのAppleウォッチャー、Jonny Evans氏は、IBMがMac導入サービスを手掛けることは「大きな変化」と指摘している。

 Evans氏はITのトレンド側からIBMの動きを分析し、「IBMは世界最大のシステムインテグレーターだ。(そのIBMが企業向けMac導入サービスを提供することは)AppleのプラットフォームがエンタープライズITにおけるプレイヤーの1つになったという主張を認める時が来た(ことを意味する)」と言う。そしてIBMがApple製品の長所である「ユーザー体験」を、企業ITも無視できなくなったのだと解説する。

 かつて企業内で使用するソフトウェアや機器は、IT部門が選定して配布したものだった。しかし、iPhoneやAndroidの登場で私用端末の業務利用が増えて「BYOD」が広がり、Dropboxなどの魅力的かつ使いやすいクラウドサービスの登場で、従業員がこれらを自ら選択して使うようになり、「シャドーIT」の問題が生まれた。

 Evans氏は「新しいデジタルワークプレイスの理論は、従業員を体験の中心に据えることだ」と主張する。これは、企業にとってメリットがあるだけでなく、社員の生産性を増強し、参加、コラボレーションを強化し、さらには人材確保にもなるとする。

 Macについては、旋風とまでいかなくとも、人気が数字に表れている。IDCの第2四半期のPCシェア調査によると、AppleはPCベンダー上位5社(Lenovo、Hewlett-Packard、Dell、Apple、Acer)中唯一前年同期比で出荷台数を増やしたベンダーだった。そのシェアは前年同期の5.9%から今期は7.8%に拡大した。Appleの直近の決算でも、MacBookの売り上げは台数と金額ともに前年同期から9%で増加している。

 モバイル化でPCの重要性が薄れたという指摘もある中、PC市場だけを見てもかつての「Win-Tel」圧倒の構図は崩れている。IBMのグローバル技術サービスでインフラサービス担当ゼネラルマネージャーを務めるRichard Patterson氏も「従業員は私生活と同じようなApple技術体験を業務でも使いたいと思っている」と述べている。

(岡田陽子=Infostand)