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CESのフォーカスはIoT 「主役はサービスへ」

IoTプロトコルの乱立状態は続く?

 これらベンダーの活発化とともに、メディアの注目を集めたのが、オープンソースのIoTフレームワーク「AllJoyn」を開発・公開している業界団体AllSeen Allianceの動きだ。AllJoynは単一のアプリから照明、空調などのIoTデバイスとやり取りできる。

 CESで発表した「AllJoyn Gateway Agent」は、AllJoyn対応製品がクラウドやアプリとやり取りする標準のインターフェイスとして設計された。これによって、複数のAllJoyn対応デバイスが遠隔から利用、制御できるようになるという。

 PC Worldは、「1つの製品に接続するのは難しくない。だが、複数の製品に接続するのは難しい」というAllSeenのIoT担当ディレクター、Philip DesAutels氏のコメントを紹介する。AllSeenはWiFiルータ、IoTハブなどのメーカーが同ソフトウェアを実装することを期待している。そうなれば、アプリとデバイスメーカーはインターネットゲートウェイとして、このエージェントに接続すればよくなるからだ。

 標準インターフェイスはAllSeenの大きな一歩だが、話はそう簡単ではない。AllSeenはQualcommが主導し、Microsoft、Cisco Systemsなどが参加している。他方、Googleは、買収したNest Labsを通じてThread Groupを立ち上げており、その中にはSamsungなどが名を連ねる。また、QualcommのライバルIntelはMediatekらとOpen Interconnect Consotiumを立ち上げている。こちらには GE Software、Dell、Hewlett-Packard(HP)のほか、Cisco、Samsungなどの名もある。

 こうした状況には相互運用性の問題がつきまとう。Computerworldは、AllSeenのメンバーでスウェーデンの家電メーカーElectroluxの幹部の不満を紹介している。同社はオーブンにカメラを搭載し、ローストチキンの出来具合などをデバイスでチェックできるようにしたいと考えているが、家庭の電化製品は異機種混在が当たり前で、それぞれのプロトコルが乱立すると実現しない。この幹部は「もしベンダー間でIoTの実現について合意がなければ、IoTビジネスは離陸しない」とコメントしている。

 Computerworldはまた、プロトコルの差異を克服しての通信は難しく、競合する団体が合意しなければならない、とのAllSeenのディレクターDesAutels氏の見解も紹介する。そして、現時点ではそのような動きはないとしている。

 特定のエコシステムの受け入れが進めば価格は下がり、製品間の連携が容易になるが、「どの陣営が優位になるのかを判断するのは時期尚早」とComputerworldは指摘する。標準化争いは、技術の黎明期に必ず起こる動きで、まさに「歴史は繰り返す」の感がある。だがIoTが本番に入っていくには必ず通らねばならない道なのだ。

岡田陽子=Infostand