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CESのフォーカスはIoT 「主役はサービスへ」

 年始好例の家電見本市「International CES 2015」が今年もラスベガスで開催された。1月6日から4日間の会期中、さまざまな新しい製品が登場したが、中でも「モノのインターネット」(IoT:Internet of Things)は大きなテーマとなった。大手のSamsung、BlackBerryなどが戦略を発表し、巨大市場への期待の大きさを実感させる。

2017年に製品の9割をIoT対応にする Samsung

 CES開幕前日のオープニングで行われたSamsungの社長兼CEO、Boo-Keun Yoon氏の基調講演では、スマートフォンやタブレットの話はなく、IoTの話に終始した。Yoon氏は「IoTは社会、経済、われわれの生活を変革する潜在性を秘めたものだ」と強調。センサーの進化や無線技術の普及など基盤技術が整ってきており、「(IoTは)サイエンスフィクション(SF)ではなく、サイエンスファクトだ」と述べた。

 Yoon氏が重視したのは「目的」だ。「CES、そして以前のイベントでもシリコンバレーのリーダーたちが共通して強調したのは、接続されたデバイスで重要なのは人であり、その問題を解決しているかということだ」とZDNetは解説する。Yoon氏も「IoTで何ができるのかを示す必要がある」と述べた。

 この基調講演でYoon氏に招かれて壇上に立ったFoundation on Economic Trends代表で文明批評家のJeremy Rifkin氏は「コンシューマー家電はプロシューマー家電へと変形しつつある」と述べ、ユーザーが自分の生活を制御でき、選択肢がある世界になると展望した。

 Yoon氏はSamsungがIoTを実現するアプリとデバイスをそろえているとした上で、明るさを自動調節する照明システムやワインセラーにあるワインの場所を探すワインコレクション管理アプリなどを紹介。また、スマートフォンでデバイスを制御するSmartThings(2014年にSamsungが買収)と、さまざまなプラットフォーム上のデバイスのセンサーを接続できる「SmartThings Hub」を発表した。

 2017年にはSamsung製品の90%をIoT対応にする計画で、2015年はIoT分野の開発コミュニティに1億ドル以上を投じる計画だという。

(岡田陽子=Infostand)