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クラウドはどう進化するか? 2015年クラウド展望

クラウドからデータの時代へ

 市場調査会社のMarkets and Marketsによると、2015年のクラウド市場は1210億ドルに達する見込みだ。同社は2010年から2015年までの年間成長率を26%と予想している。

 このレポートを分析したCloud Techは、2015年の推進役はこれまでセキュリティなどの懸念からクラウドに後ろ向きだった大企業だと予想する。同時に、大企業の懸念を緩和するソリューションについても開発が進むとみる。

 例として、クラウドで実装したアプリケーションやデータの移植性や管理のニーズに対応するためのオープンなクラウドAPIと標準、そしてそのようなクラウドのオープン化がもたらすクラウドマーケットプレイスの台頭を挙げている。その結果、相互運用性のあるマルチクラウド環境を構築できるようになるという。

 Forbesの技術ジャーナリスト、Joe McKendrick氏は、2015年のクラウドコンピューティングの予想として「データが重要になる」と記している。これは、昨年の予想である「クラウドはユビキタスになる」を受けたものだ。

 「ユビキタス」とは、クラウドがコンピューティングの一つの形式となり、わざわざ「クラウド」と呼ばないレベルになるということだ。これについては、「まだ実現した段階とはいない」としながらも、さまざまな形で利用されるようになったとする。クラウドの利用に抵抗がなくなった次の段階では、クラウドをどう活用するかが重要になる。そこで挙がるのが「データ」。顧客が何を求めているの洞察を得るためのツールとなるということだ。

 「競争の激しいグローバル経済では、企業はデータ主導になる必要がある」とMcKendrick氏は言う。そしてベンダー各社からクラウド経由で提供される分析ツールを参照しながら、大規模なデータの管理と分析のための方法を提供する「クラウドベースのデータ分析」が2015年に重要になると同氏は主張する。

 Gartnerは昨年10月に発表した「2015年に重要になる戦略的技術トレンド10」で、クラウドとモバイルの融合が進んだ「クラウド/クライアントコンピューティング」を挙げている。短期的には、コンテンツやアプリケーションの状態の複数の端末での同期や、アプリケーションの移植性の向上。長期的には、複数のデバイスの同時利用にアプリケーション側で対応できるようになることを予想している。

(岡田陽子=Infostand)