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クラウドはどう進化するか? 2015年クラウド展望

 クラウドコンピューティング市場は2014年、順調に成長を遂げた。広く採用されるようになり、受け入れ議論は終わって選択肢として定着したと言ってよいだろう。追い風を受けて幕を開けた2015年、クラウド市場はどうなるのか? 技術トレンドからベンダー動向まで、メディアの予想をまとめてみよう。

ベンダーの価格競争は一段落?

 クラウド市場の現状では、PC Worldは、企業の90%が何らかの形でクラウドを利用していると報告。Business Spectatorは、クラウドを導入した企業の82%がコスト削減を実現できたとしている。

 市場規模では、Synergy Researchがクラウドインフラサービス(IaaS、PaaS、プライベートとハイブリッドクラウドを含む)市場が2014年第3四半期に、40億ドルの大台を超えたと報告している。Business Spectatorはまた、Amazon Web Services(AWS)など主要ベンダーの中には4四半期の売り上げが10億ドルに達するところも出てきていると指摘し、「主要なプレーヤーは成果を上げている」と解説している。

 Business Spectatorは「クラウドは2015年成長する」というタイトルで、クラウドの位置づけが変わってくるとの見通しを示している。「技術担当幹部の間でクラウドのメリットがデメリットを大きく上回るという認識が進んでおり、クラウドに対する恐れは急速になくなっている」とした上で、Webとソフトウェア開発に利用するというこれまでの位置づけから、2015年はすべてをクラウドに移行する動きが出てくるだろうと予想する。

 受け入れが進んだ要因の1つにベンダーの価格競争がある。2013年に「Google Compute Engine」を正式版としたGoogle、同じく2013年にSoftLayerを買収したIBMなどが2014年はクラウド事業に本腰を入れ、Microsoft、AWSなどとの競争がさらに過熱した。顧客を勝ち取るべくベンダー各社は価格競争を展開したが、Business Spectatorはこの状況が一段落つくとみる。

 「純粋なクラウドインフラおよびストレージサービスは事実上コモディティになった。利益は薄くなり、規模の経済の段階に入った」と位置づける。だが、これ以上価格が下がらないというわけではなく、ムーアの法則の下、持続性のある形で緩やかに下がっていくだろうとみている。

 一方で「今年はクラウド業界に大変動が起こる」とも予言している。クラウドサービスの提供にはデータセンターの構築と運用など大規模な投資が必要だが、ベンダー側は今後ますます投資を正当化できなくなり、2015年にはグローバルに展開するクラウドベンダーの1社が撤退するという大胆な予想も披露している。なお、IDCも、昨年末に発表したクラウドの予想で、IaaS事業者の75%が「サービスを再設計/再ブランド/撤退する」としている。

(岡田陽子=Infostand)