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Windows無償化でモバイルに挑む Microsoftのデバイスとサービス戦略

 新CEO、Satya Nadella氏を迎えたMicrosoftが「Windows 8.1」のスタート画面の復活や、Windowsの一部無料化など大胆な施策を発表した。4月2日に開催した開発者会議「Build」でのことで、Nadella体制になって初の大規模な自社イベントだ。新しい時代に向け、変革を起こそうとの意図がみてとれるものとなった。

「顧客の声に耳を傾けた」

 3日間の年次カンファレンスは実に盛りだくさんの内容だった。技術面では「Windows Phone 8.1 Update」「Windows 8.1 Update」などOSでの最新機能、アプリケーションでは「Universal Windows Apps」を明らかにした。

 Windows 8.1 Updateで一番評判を呼んだのは「スタートメニュー」の復活だ。Windows 8では“タイル”画面をデフォルトにして、長らく採用してきたスタートメニューを廃止。マルチデバイスの時代を見越した決断だったはずだが、ユーザーの間の評判は悪く、結局、方向転換を強いられた。次の8.1 Updateではスタートメニューが復活し、タッチ機能を持たないデスクトップPCはスタートメニューを利用できるほか、タスクバーとの連携も強化された。スタート画面でのシャットダウンも復活する。

 Betanewsは、Microsoftがスタートメニューを廃止したことを「自社の方針をプッシュするために顧客を無視した」と非難しながら、復活は「誤りを認めるのは必要なことだ。Microsoftはユーザーの声に耳を傾け、重要な変化を実現している」と評価する。MicrosoftウォッチャーのMary Jo Foley氏は一連の変化に触れ、「最初からこうあるべきだった姿を実現した」と述べている。

 Windows Phone 8.1では、音声認識技術「Cartana」の導入が目玉となった。AppleのSiriなどに対抗するもので、Bingと連動した音声検索やコマンド操作が可能となる。合わせて、CromaxとPrestigioの2社が新OEMとなることも発表された。買収完了間近といわれているNokiaは開発者会議に合わせてWindows Phone 8.1を搭載した最新のLumiaスマートフォンを発表して、盛り上げに一役買った。

 Universal Appsは、Windows、Windows Phone、それにXbox Oneの各デバイスをまたいだアプリケーション開発を可能にする。OS側の取り組みを補完するもので、Microsoftの重要課題であるアプリケーションのエコシステムの維持、さらには開拓にあたっての対策となる。

(岡田陽子=Infostand)