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クラウド戦略とオープンソース開発の行方は IBMのHashiCorp買収

 IBMが、HashiCorpを買収することで同社と合意したと発表した。買収額は64億ドルで、2019年に340億ドルで買収したRed Hatに次ぐ過去2番目の大型買収となる。IBMはマルチクラウド戦略を強化して、包括的なハイブリッドクラウド・プロバイダーの地位固めを狙う。一方で、HashiCorpのオープンソース開発を、どのように扱うのかが注目されている。

「AI時代の包括的なハイブリッド・クラウドプラットフォーム」

 4月24日、IBMは決算発表とあわせてHashiCorp買収を発表した。買収額は1株当たり現金35ドルで、税抜き後の評価額は約64億ドルとなる。35ドルは、買収のうわさが流れる前の株価に対して約4割のプレミアを付けた額だ。

 2012年設立のHashiCorpは、「インフラストラクチャー・アズ・コード」(IaC)のソフトウェア企業で、さまざまなクラウドプラットフォームやオンプレミス環境にまたがって相互運用可能な自動化・管理ツール群を提供している。

 代表製品はインフラライフサイクル管理(ILM)の「Terraform」と、セキュリティライフサイクル管理(SLM)の「Vault」で、4400社以上の企業顧客を持ち、Fortune500の85%に利用されている。

 一方、IBMは、ハイブリッド/マルチクラウドのインフラ、自動化、DevOps、そしてAIに注力しており、HashiCorpの製品ラインアップはその戦略と合致する。

 生成AIの展開が加速して、クラウドインフラがますます異種混合で動的・複雑になる中、「IBMのポートフォリオと専門知識、およびHashiCorpの能力と才能を組み合わせることで、AI時代のために設計された包括的なハイブリッド・クラウドプラットフォームが誕生する」(Arvnind Krishna CEO)という。

 HashiCorpにしてみれば、グローバル展開するIBMの規模が伸び悩みを脱する力になる。同社は2021年に株式公開したが、成長は鈍化し、赤字が続いている。時価総額は、上場直後の171億ドルがピークで、最近は3分の1程度だ。それでも成長率は20%を超えて、IBMのソフトウェア事業を大きく上回る。

 両社は、株主や規制当局の承認を経て年内の買収手続き完了を見込んでいる。