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欧州の業界団体が規制当局に訴え VMware by Broadcomのライセンス変更問題

Broadcomは「ゲートキーパー」と同様に扱うべき

 アナリストは、Broadcomの動きと影響をある程度予測していたようだ。

 Forrester Researchの主席アナリスト、Tracy Woo氏は「パートナーは怒っている」とSDX Centralに述べている。「前日の通知だったり、メールで知らされたりしたからだ。これがBroadcomのやり方であり、これが現実であり(Broadcomは)謝罪はしない」と手厳しい。

 BroadcomのVMware買収にあたっては、発表から完了まで1年半をかけて審査した上で各国の規制当局が承認した。そこには当然、EUも含まれる。EUは、買収による価格上昇の可能性などを審議したと伝えられている。

 VMwareは仮想化の大手で、CISPEによると2023年の市場シェアは45%に達する。CISPEは「ソフトウェアやサービスプロバイダーによる認定が必要なクラウド分野のアプリケーションでは唯一の有力な選択肢だ」と言う。

 そして、「Broadcomは、DMA(EUデジタル市場法)の下では『ゲートキーパー』とみなされるべきだ」と続ける。2023年5月に施行されたDMAでは、主要プラットフォームを提供する大企業6社をゲートキーパーに指定。サードパーティーとの相互運用性の確保や、利用者の決定権を害しないことなどを厳しく求めている。

 Broadcomはゲートキーパーの指定を受けてはいないが、同様に扱うに値する影響力を持っているとの主張だ。

 Ars Technicaによると、EU当局は3月末にBroadcomと連絡をとったという。VCFのアップデートで、顧客とパートナー、そして当局の懸念を払拭できるのか――。欧州の動きも注目される。