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EUC事業売却にSymantecとの統合 VMwareの新しい方向性

無料版ESXiは廃止、年内は2桁成長目指す

 VMwareがVMware by Broadcomとしてスタートしたのが2023年11月末。その直後に2000人規模の大規模な人員削減があり、製品の再編も進んだ。だが、ここに来てEUCを売却し、Symantecとの統合を進めたことで、VMware by Broadcomの方向性が見えたとも言えそうだ。

 Silicon ANGLEは、「買収時はHock Tan氏がVMwareの資産をどのように扱うつもりか警戒していた」としながら、「MWCでの発表から、BroadcomがSDNやクラウドのポートフォリオに価値を見いだしていることは明らか」としている。時間がたってみないと分からないとしながらも、「ここまでは順調だ」と締めくくっている。

 だが、批判的な意見は根強く残っているようだ。オープンソースに明るいジャーナリストSteven J. Vaughan-Nichols氏は「Killing VMware(VMwareを殺す)」というタイトルでComputerworldに寄稿している。

 同氏は、VMware by Broadcomは、製品の再編だけでなく「無料のハイパーバイザーESXiを静かに廃止するという決断を下した」と指摘する。「企業にとって(無料版の廃止は)大きな問題ではないかもしれないが、ESXiの限定バージョンを使っていた人はおり、無料のESXiハイパーバイザーを使った後にVMwareスタックを使うようになった人もいる。無料版でテストドライブしている人もいる」とその影響を危惧する。

 また、サブスクリプション契約への移行についても、「前からVMware製品は高価だったが、顧客はさらなる価格上昇を恐れている」と述べ、パートナー事業については「再販事業者やサービスパートナーを切り捨て、上位2000社と直接取引することにした」と批判する。

 「Broadcomの企業向けソフトウェアの実績はよくない。私がVMwareの顧客なら別の道を選ぶだろう」(Vaughan-Nichols氏)と厳しい。

 だが、こうした声をよそに、Tan氏は自信満々だ。2月8日の第1四半期決算発表でBroadcomは、VMwareが入るソフトウェアインフラビジネス事業部の売り上げが前四半期の19億3500万ドルから45億7100万ドルに増加したと発表した。

 The Registerによると、「残りの会計年度を通じて、前四半期比2桁成長を維持する」とし、「VMwareの戦略の成果だ。期待した通りの結果だ」とTan氏は述べている。