Windows Server 2012研究所
クラウドOSビジョンを具体化するWindows Server 2012 R2とSystem Center 2012 R2 (Windowa Server 2003/2003 R2のサポート終了が問題に)
(2013/12/3 06:00)
Windowa Server 2003/2003 R2のサポート終了が問題に
企業にとっては、2015年7月に来るWindowa Server 2003/2003R2のサポート終了が大きな問題となるだろう。Windowa Server 2003/2003R2のメインストリームサポートは2010年7月にすでに終了しているが、2015年7月には延長サポートも終了し、その後はセキュリティ更新プログラムも提供されなくなり、有償でのサポートも行われなくなる。つまり、Windowa Server 2003/2003R2は、OSとしてのライフサイクルの最後のフェーズに入るということだ。
2015年7月になったからといって、Windowa Server 2003/2003 R2が突如として動作を停止するわけではない。ただ、Microsoftがサポート対象から外すことで、多くのサードパーティがWindowa Server 2003/2003 R2でのアプリケーションの動作を保証しなくなる可能性がある。
こちらも、すぐにWindowa Server 2003/2003 R2で動作しているアプリケーションすべてでサポートがなくなるわけではないが、サードパーティ側でも、アプリケーションをアップデートする時にはWindowa Server 2003/2003 R2での動作保証を外したりすることになるだろう。
なによりも、Windowa Server 2003/2003 R2に対してセキュリティ更新プログラムが提供されなくなるため、OSのセキュリティが保てない可能性が高くなる。
こういったことを考えれば、Windowa Server 2003/2003 R2からのアップデートをすぐに検討する必要がある。サーバーOSの場合、アプリケーション単体だけでなく、企業のITシステム全体に及ぼす影響もあるため、テスト期間が長期にわたるだろう。システムを新しくするとなれば、年単位で時間がかかる。今はまだ、1年半ほど時間はあるが、サーバーの移行というハードルの高い作業を考えれば、ほとんど時間はなくなってきているといえる。
企業のIT部門の方には、この機会にITシステムを真っ正面から見据えてほしい。Windowa Server 2003/2003R2が導入されたころには、クラウドやハイブリッドクラウド、PaaSなどは影も形もなかった。またデバイスも、タブレットやスマートフォンなどはなく、モバイル ネットワークは回線スピードも遅く、多くのユーザーが頻繁に利用するモノではなかった。
次の10年を考えれば、タブレットやスマートフォンだけでなく、さまざまな機器がネットワーク接続され、クラウドやオンプレミスサーバーにアクセスしてくるだろう。最近注目を集めているキーワードにM2M(Machine to Machine)、IoT(Internet of Things)などがある。これは、さまざまな機器にネットワーク機能が入ってくることだ。
例えば、街角にある自販機で、自販機が自動的に売れた商品のデータを送ってくれるようになれば、補充に必要な商品だけを持っていけるためロスが少なくなるし、自販機の販売データをリアルタイムに把握することで、商品のマーケティングに役立てたりすることもできるだろう。
また、長期間バッテリで動作できる小型の気象センサーがあれば、数万、数十万のセンサーを全国にばらまくことで、現在の粗いメッシュの気象データから、より現実に即した気象データを提供できるようになる。このような細かなデータをベースにして、詳細で予測精度の高い気象予報が可能になるかもしれない。
最近、ナイキが発売したリストバンドは、日常生活の運動活動の状態を記録してくれる。こういったガジェットが進化して、個人の血圧や心拍数、体温などを24時間、毎日、記録してくれるようになれば、健康分野でも新たなビジネスが出てくるだろう。
今後の10年は、こういった新しいデバイスとビジネスの出現により、企業のITシステムは大きな変化を余儀なくされてくる。Windowa Server 2003/2003 R2の移行を考える時には、こういったビジネスの変化を考えて、新たなIT基盤を構築するようにしてほしい。
Windowa Server 2003/2003 R2の移行作業が終わったら、5年後にはWindowa Server 2008/2008 R2の移行作業が待っている。このように、5年ごとに大きな作業が起こるため、この機会にIT基盤を見直してみるのもいいだろう。